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中国の水道水は安全?水不足や水質汚染の原因も紹介

中国 水道水

 

中国の水道水が安全に飲めるのかは、多くの人が気になる点かもしれません。また、中国が抱える深刻な水不足や水質汚染の問題は、現地での生活やビジネスに大きな影響を与えています。

 

今回は、中国の水道水の安全性をはじめ、水不足の原因や水質汚染の原因を詳しく紹介します。さらに、日本との水文化の違いや、中国で安全に水道水を利用するための具体的な方法なども紹介するので、中国の水事情をしっかり理解できるでしょう。

 

 

目次

     

     

     

    中国の水道水の安全性と飲用の実態

    中国 水道水

     

    中国の水道水をめぐる疑問は、現地を訪れる旅行者だけでなく、ビジネスや留学で長期滞在する人にとっても、切実な問題です。まずは、水道水の飲用の実態と、日本との文化的な違いを整理しておきましょう。

     

     

    中国の水道水はそのまま飲めるのか

    結論からいえば、中国では水道水の品質に地域差が大きいため、現地では、飲用前に沸騰させたり浄水器やウォーターサーバーを利用したりするのが一般的です*。

     

    都市部と農村部では水質に大きな差があり、さらに、北京や上海などの大都市の中でも安全性に地域差が見られます。UNICEFが毎年のデータによると、中国を含む東アジア地域では安全に管理された飲料水へのアクセスが改善傾向にある一方、農村部を中心に依然として課題が残るとされています**。

     

    なお、上海市では近年、飲料水の水質が向上しており、国家市場監督管理局が2022年3月に発表した新基準に基づき、一部の調査では水質改善が進んでいると報告されています。ただし、全国的な底上げには、まだ時間を要する状況といえるでしょう。

    *JETRO上海事務所「上海通信2 『水道水が飲めない街』上海

    **UNICEF「家庭用飲料水、衛生設備、衛生習慣の進捗状況 2000年~2024年:格差への特別な焦点

     

     

    日本との水道水の安全性と文化の違い

    日本の水道水は厳格な水質基準を満たしており、蛇口から水を直接飲める国として、世界的にも高い評価を受けています。一方、中国では、水道水を直接飲む習慣はほとんどなく、飲料水は別途確保することが文化として定着しています。

     

    この違いは、水質管理体制の違いや配管の老朽化の問題によるものです。中国では浄水場で処理された水でも、老朽化した配管を通る過程で再汚染されるケースがあります。また、中医学的な観点から「冷たい水・生水は体に悪い」という意識が根強く、文化的にも水を沸かして飲む習慣が浸透しています。

     

     

     

    中国の水不足の原因と背景

    中国は世界最大の人口を抱えながら、1人あたりの水資源量は、世界平均の約4分の1しかありません。水不足の構造的な原因と、それが社会・経済に与える影響を見ていきましょう。

     

     

    中国で水不足が深刻な理由

    中国の1人あたりの水資源量は、世界平均の約4分の1程度にとどまっており、水資源の絶対量の少なさが慢性的な水不足の根本原因となっています。この絶対量の少なさに加え、深刻な地域偏在が問題をより複雑にしているといえるでしょう。

     

    ■世界の年平均降水量・一人あたりの年降水総量・水資源賦存量

    中国 水道水

    ※出典:国土交通省「水の循環と水資源の賦存状況

     

    中国の水資源は南部に偏在しており、北部と比べて水資源量に極端な格差があります。また、東南沿海地域の年間降水量が1,500〜2,000mmであるのに対し、北西内陸地域では200〜400mmにとどまるなど、地域ごとの降水量の偏りも水不足を深刻化させています***。

     

    この南北格差を解消するために中国政府が推進しているのが、「南水北調」プロジェクトです。1952年に構想され、2002年に着工しました。

     

    中国水利部および中国南水北調集団の発表によると、東・中央ルート第1期プロジェクトの2024年12月時点での累計送水量は765億立方メートルを超え、北京・天津・河北省などの沿線45都市・1億8,500万人以上が恩恵を受けているといわれてます。また、現在では、北京市街地の給水の約8割が同プロジェクトによる南方地域からの水となっています****。

     

    ***新華網日本語「中国・『南水北調』プロジェクトの累計送水量、765億立方メートルに」

    ****公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)「中国の水問題

     

     

    水不足がもたらす社会・経済的影響

    水不足の影響は、生活用水だけにとどまりません。FAO・AQUASTATのデータによると、中国の全水使用量のうち農業用水が全体の半数を大きく超えて占めているため、水不足は農業や食料安全保障にも直結しているといえるでしょう。

     

    また、水不足は、工業活動の制限にもつながり、経済成長の足かせとなります。

    中国国内では数多くの大中都市が慢性的な水不足に直面しており、特に北部・内陸部では地方住民の飲料水の安全確保も課題です。慢性的な水不足に苦しむ北部地域では地下水の過剰汲み上げが続いており、これが土地の沈下や地下水汚染の深刻化を招いているという悪循環も生まれています。

     

     

     

    中国の水質汚染の原因と現状

    中国 水質汚染 原因

     

    水の「量」の問題に加え、「質」の問題も、中国の水事情を語る上では欠かせません。工業・農業・生活の各分野から生じる汚染が複合的に絡み合い、深刻な水質汚染を生み出しています。

     

     

    主な水質汚染の原因

    中国の水質汚染の主な要因は、工業廃水や農業廃水、生活廃水の3つです。

    中国では、急速な経済発展に伴って工場排水が増加し、処理しきれない廃水が河川に流出しました。農業分野では全水使用量の6割超を農業用水が占め、大量の農薬や化学肥料の残留成分が河川と地下水に浸透しているとされています*****。

     

    こうした廃水の流出により、中国国内の一部地域では、河川や湖沼、地下水の汚染が確認されています。特に、北部の乾燥地域では地下水に頼らざるを得ない状況が続いており、工業化の進展とともに、フッ化物やヒ素、重金属類などの有害物質が高濃度で検出される地域も報告されているそうです。

     

    中国の国務院が2016年に公布した「十三五生態環境保護計画」では、地下水の水質が「極めて悪い」と分類される割合を一定水準以下に抑えることを2020年目標として明記しており、汚染の深刻さを公式に認めたものといえるでしょう******。

     

    *****株式会社ミラサス「中国が抱える水問題は水不足と水質汚染 その原因と対策は?

    ******水ビジネス・ジャーナル「中国地下水汚染対策分野の現状と展望

     

     

    水質汚染が健康や環境に与える影響

    汚染された水の飲用は、健康被害を引き起こします。汚染水が農業用水として利用された場合は農作物への汚染経路にもなり、食の安全にまで波及するといえるでしょう。

    生態系面では、河川や湖沼の富栄養化によるアオコの大量発生が中国各地で報告されており、水生生物の減少と生物多様性の低下が進んでいます。

     

     

     

    中国で水道水を安全に利用するための方法

    中国 水道水

     

    中国では、現地の水事情を把握した上で、適切な対策を取ることが健康を守る基本です。家庭内での対策から外出時の注意まで、実践できる方法を確認しておきましょう。

     

     

    家庭でできる水道水の安全対策

    家庭でできる最も基本的な水への対策は、水道水を十分に沸騰させることです。

    沸騰させることにより、細菌やウイルスの多くは除去できます。より安全性を高めたい場合は、逆浸透膜(ROシステム)を採用した浄水器が有効で、重金属や農薬成分、細菌をほぼ除去できます。中国ではウォーターサーバーも広く普及しているため、信頼できるメーカーのボトル水を選ぶようにしましょう。

     

    なお、中国で市販のペットボトル水を利用する場合には、飲む前に、保存状態や賞味期限、封の状態の確認が必要です。中国では偽造品や品質不明の製品が流通することもあるため、大手メーカーや信頼性の高いメーカーの製品を選ぶようにすると安心です*******。

     

    *******BTHacks「中国では水道水が飲めない! 中国出張中では飲み水はどうしたら良い?

     

     

    外出先や公共施設での水の利用注意点

    中国では、外出時は、携帯用浄水器やミネラルウォーターの持ち歩きを基本としましょう。

    飲食店では、氷や生水のほか、未加熱のジュースにも注意が必要です。氷は水道水から作られている可能性があり、特に衛生管理が不十分な屋台や安価な飲食店では、避けるほうが無難です。

     

    そして、現地在住者や信頼できる情報源から最新の水事情を収集する習慣をつけることも、安全確保には欠かせません。

     

     

     

    中国の水事情を正しく理解して、安全な水との付き合い方を身につけよう

    中国 水道水

     

    中国の水道水はそのまま飲むことは推奨されず、沸騰や浄水処理、ペットボトル水の活用が基本です。水不足は1人あたりの水資源量の少なさと深刻な南北格差や地域偏在が主な原因で、農業や工業、生活全般に広く影響を与えています。

     

    水質汚染については工業排水や農業廃水、生活排水の未処理放出が複合的に重なった結果で、河川と地下水の広範な汚染につながっています。安全な水の確保には、家庭での沸騰や浄水器の活用、外出時のミネラルウォーターの携帯など、日常的な対策の習慣化が欠かせません。

     

    中国政府は規制強化や技術投資を進めており、上海など一部都市では水質改善の成果も出始めています。中国の水事情を正しく理解し、適切な対策を取ることが、現地での安全な生活やビジネスの第一歩といえるでしょう。

     

     

    世界の水事情について知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

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