• 水とくらし

インドネシアの水問題とは?安全性や現状、対策について

インドネシア 水

 

インドネシアへの渡航や移住を検討している方にとって、水の安全性は気になる問題の1つではないでしょうか。

東南アジア最大の経済規模を誇るインドネシアですが、人口増加や急速な経済発展に伴い、水質の汚染や上下水道の整備不足が年々深刻化しています。特に、水道水の安全性については、十分な注意が必要といえるでしょう。

今回は、インドネシアの水資源の現状から、安全な水を確保する方法や最新の取り組みまで、インドネシアの水問題について幅広くご紹介します。

 

 

目次

     

     

     

    インドネシアの水資源と上下水道の現状

    出典:環境省「インドネシアにおける 水・排水管理の現状

     

    インドネシアは豊富な水資源を持つ国として知られていますが、上下水道の整備が十分に進んでいません。特に、インドネシアの都市部と農村部では、上下水道の整備に著しい格差が存在します。

     

     

    インドネシアの水資源の特徴

    インドネシアは年間降水量が非常に多く、5,000以上もの河川流域を持ち、豊富な水資源に恵まれた国です。

    しかし、雨季と乾季の降水量の差が激しく、雨季には暴風雨や洪水が頻発する一方で、乾季には深刻な水不足に陥る地域もあります。この季節的な変動により、水資源の安定供給が困難になっているのです*。

     

    また、インドネシアの多くの地域で、生活用水は地下水に依存しています。特に、農村部では、井戸水が主要な水源です。

    そのため、農村部では地下水の過剰な汲み上げにより、地盤沈下や海水の浸入といった新たな問題も発生しています。

     

     

    インドネシアの上下水道の整備状況

    インドネシアの上水道の普及率は約31%、下水道は約3%程度と著しく低い水準です**。首都ジャカルタなど大都市圏では水道普及率が90%以上に達していますが、農村部や離島では整備が大きく遅れており、安全な水へのアクセスが極めて限定的といえるでしょう。

     

    *環境省「インドネシアにおける 水・排水管理の現状

    **国土交通省「インドネシア共和国

     

     

    インドネシアの水道水の安全性や水質汚染の実情

    インドネシア 水

     

    インドネシアでは、たとえ水道インフラが整備されている地域でも、水道水の安全性には課題があります。インドネシアの水道水の安全性や水質汚染の原因、地域別の状況について説明します。

     

     

    水道水の安全性

    インドネシアの水道水は、多くの地域で飲用水には適していません。

    調査によれば、家庭用飲料水源の約70%が糞便汚染されており、細菌やウイルスによる食中毒・下痢性疾患のリスクが高い状況にあります。特に、乳幼児や高齢者、妊婦などの免疫力が低下している方々は感染症にかかりやすいため、水道水の飲用は絶対に避ける必要があります。

     

    水質汚染の主な原因

    インドネシアの河川や地下水の汚染の主な原因は、生活排水、工業廃水、農業排水、そしてゴミの不適切な処理です。

    下水道普及率が3%程度しかないため、多くの家庭からの排水が未処理のまま河川や地下水に流れ込んでいます。そのため、ジャカルタのチリウン川や西ジャワのチタムル川などでは著しい水質汚染が報告されており、健康被害だけでなく農業や漁業など地域経済にも悪影響を及ぼしています***。

     

    地域別の飲料水のアクセス状況

    インドネシア全体の安全な飲料水へのアクセス率は、2019年時点で約84%ですが、地域による格差が非常に大きいのが実情です。都市部では比較的高いアクセス率を保つ一方、農村部では50%以下という地域も存在し、経済発展の度合いとインフラ整備の遅れが主な要因といえます。

     

    ***環境省「インドネシアにおける 水・排水管理の現状

     

     

     

    インドネシアで安全な水を確保する方法や水利用の注意点

    インドネシア 水

     

    インドネシアで生活する上で、安全な水をどのように確保するかは、極めて重要な項目の1つです。具体的な確保方法とともに、日常生活における水利用の注意点についても紹介します。

     

     

    インドネシアで安全な飲料水を確保する具体的な方法

    安全な飲料水を確保する方法は、主に以下の3つです。滞在期間や生活スタイルに応じて選択するようにしましょう。

     

    <インドネシアで安全な飲料水を確保する方法>

    ウォーターサーバーとガロンボトル:長期滞在者に最も人気がある方法。冷水と温水が簡単に使えるだけでなく、定期配達サービスも充実しており、1本あたりの単価もペットボトルより安い。

    ペットボトルのミネラルウォーター:短期滞在者には最適の方法で、コンビニやスーパーで購入できる。500mlボトルが数千ルピア(数十円)程度と安価であるものの、長期になるとコスト面で割高となる。

    浄水器:より根本的な対策の1つ。工事不要で設置できるタイプも多く、飲用水だけでなく生活用水の安全性も高められる。高性能な浄水器は細菌、ウイルス、重金属まで除去でき、長期的に見ると、最も経済的といえる。

     

    インドネシアでの水利用における注意点

    インドネシアの水で気をつけるべきなのは、飲料水だけではありません。以下のようなシーンにも注意が必要です。

     

    <インドネシアでの水利用で注意するシーン>

    ・レストランや屋台で提供される氷、生野菜、茹でた麺などにも調理過程で水道水が使われている可能性が高く、感染リスクがある。

    ・歯磨きやうがい、シャワー、洗顔でも、水道水を直接使用することは避ける。特に、歯磨きやうがいでは水を誤って飲み込む可能性もあるため、必ず浄水やミネラルウォーターを使用する。

    ・洗濯用水も水質が悪く、衣類の変色や肌トラブルの原因に。インドネシアの水道水は硬度が高く、鉄分などのミネラル分が多く含まれているため、敏感肌の方は特に注意が必要。

     

     

    インドネシアの政府や企業、NGOの水問題への取り組み

    インドネシア 水

     

    インドネシアの水問題には、政府だけでなく民間企業やNGOも積極的に取り組んでいます。各セクターの具体的な取り組みと、水処理技術の最新動向について説明します。

    政府の政策とインフラ整備の現状

    インドネシア政府は、上下水道の普及率向上を国家的な優先課題として位置づけ、特に、農村部と都市部の格差是正に注力しています。

    インドネシアの憲法では、安全な飲料水の供給が国民の基本的権利として保障されているため、公共サービスの一環として推進されています。しかし、資金不足や地理的条件、人口増加のスピードなど、多くの課題があり、目標達成に時間がかかっているのが実情です。

     

    企業やNGOの活動事例

    世界有数の総合製紙企業であるAPPグループは、インドネシアの製紙工場での水の再利用システムを導入し、工場周辺地域への清浄水供給プロジェクトを展開しています。また、地域住民向けの衛生教育プログラムも実施しており、SDGsの達成にも貢献しています****。

    また、国際NGOのHabitat for Humanity Indonesiaは、貧困地域における井戸掘削プロジェクトや衛生改善活動を展開し、持続可能な水供給体制の構築を目指しています*****。

     

    ****共同ピーアール株式会社「インドネシアの水問題に取り組むAPPグループ

    *****京都大学「インドネシアの浄水危機

     

     

    水問題を抱えるインドネシアでは安全な水の確保を心がけよう

    インドネシア 水

     

    インドネシアは、豊富な水資源を持つ国でありながらも、上下水道の整備不足や深刻な水質汚染、地域間の大きな格差といった複雑な課題も抱えています。

    そのため、インドネシアでは、水道水の直接飲用は健康リスクが高く、ウォーターサーバー、ペットボトル、浄水器など適切な方法で安全な水を確保しなければなりません。

     

    インドネシアでの安全な生活を送るためには、現地の水事情を正しく理解し、適切な対策を取ることが必要不可欠です。政府や企業の取り組み、技術動向にも注目しながら、安全な水利用を心がけることが重要といえるでしょう。