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メガソーラー問題とは?環境への影響や地域トラブル、最新の規制も解説

メガソーラー 問題

 

メガソーラーは再生可能エネルギーの普及に貢献する一方で、環境破壊や地域住民とのトラブル、安全性の懸念など多くの問題が指摘されています。先日、政府が2027年度以降、新規メガソーラーへの支援縮小・停止方針を示したことがニュースになりました*。

今回は、メガソーラーの問題点を多角的に整理するとともに、最新の動向や解決策なども併せて説明します。

 

*日本経済新聞社「新設メガソーラーなどの売電価格上乗せ廃止、政府・自民が27年度にも

 

 

 

目次

     

     

     

    メガソーラーとは?設置が進む背景と基本知識

    メガソーラー 問題

     

    まずは、メガソーラーの基本的な定義や特徴をご紹介します。日本でなぜこれほど設置が加速しているのかについても、その背景を詳しく見ていきましょう。

     

     

    メガソーラーの定義と特徴

    メガソーラーとは、出力1MW(メガワット)以上の大規模太陽光発電所のことです。1MWの設備では年間約100万kWhを発電し、一般家庭約210世帯分の電力に相当します** 。

     

    固定価格買取制度(FIT)の導入以降、メガソーラーは日本でも急速に普及しました。遊休地や山林、農地跡地などに多数設置が進み、2024年時点で太陽光発電は国内発電量の約11%を占めています。非住宅(10kW以上)が約8割、そのうち1MW以上のメガソーラーが大きな割合を担います。

     

    大規模に発電できること、短期間で再生可能エネルギーを供給できることが、メガソーラーの大きな特徴です。環境省の試算では、1MWの設備で年間約662トンのCO₂削減効果があると報告されています。***。

     

    **資源エネルギー庁「今後の再生可能エネルギー政策について

    ***環境省「再生可能エネルギーの導入見込量について

     

     

    メガソーラー設置が進む理由

    日本はエネルギーを輸入に依存しており、燃料価格の高騰は経済負担となります。その中で、再生可能エネルギーの導入拡大は重要な政策課題でした****。

     

    2012年のFIT制度開始時、10kW以上の太陽光発電は44円/kWhという高い買取価格でスタートしました。これにより収益性が高まり、新規参入が一気に加速したのです。

     

    また、遊休地活用や企業のRE100対応、PPA需要の増加も、メガソーラー設置加速の背景にあります。未利用地を放置すると荒廃や維持管理コストの問題が生じますが、太陽光パネルを置けば事業者が売電収入を得られるため、使っていない土地を有効活用できます。

     

    ****経済産業省「令和5年度エネルギーに関する年次報告

     

    再生可能エネルギーについては、こちらの記事も併せてご覧ください。

    再生可能エネルギーとは?導入する課題やメリットも紹介

     

     

     

    メガソーラーが抱える主な問題点と課題

    メガソーラー 問題

     

    メガソーラーは脱炭素社会の実現に貢献する一方で、多くの深刻な問題を引き起こしています。ここでは、メガソーラーが抱える4つの主要な問題点について、具体的な事例を交えながら説明します。

     

     

    環境破壊と景観悪化の問題

    メガソーラー設置に伴う森林伐採や土地造成により、生態系の破壊や土砂災害リスク増加が指摘されています。

     

    国立環境研究所の分析によると、500kW以上の太陽光発電施設は全国に8,725施設あり、開発で改変された面積は約229,211㎡(約229km²)、国土の約0.079%と報告されています。二次林や人工林、里山近くでの設置が多い点も特徴です*****。

     

    景観悪化も重要な問題です。山の斜面一面にパネルが敷き詰められることで、観光地や住宅地の景観が損なわれ、不動産価値や地域経済への影響も懸念されています。

     

    *****国立環境研究所「太陽光発電施設による土地改変-8,725施設の範囲を地図化、設置場所の特徴を明らかに

     

     

     

    地域住民とのトラブルと反対運動の背景

    メガソーラー開発を行う際の業者による地域住民への説明不足や合意形成の欠如により、騒音・粉じん問題、災害リスクへの不安など、各地でトラブルが発生しています。

     

    行政訴訟や差し止め請求など法的トラブルも増加し、社会的摩擦が深刻化しています。実際に、静岡県函南町では、2019年に県が許可した65ヘクタールの森林に太陽光パネルを設置するメガソーラー事業計画に対して反対運動が起き、業者が2024年10月末にようやく撤退したことが判明しました******。

     

    ******東京新聞「メガソーラーは地域に受け入れられなかった…静岡・函南で事業撤退 2つの『環境問題』がぶつかるジレンマ

     

     

    安全性と災害リスクの最新状況

    台風や豪雨によりメガソーラーに使用されているパネルが破損・飛散し、二次被害の恐れが指摘されています。山林開発による土砂流出の懸念も大きな問題です。

     

    加えて、火災や感電事故も発生しています。NITEの調査では2014~2023年度で約200件の事故・トラブルが確認され、その約7割がパワーコンディショナ(PCS)に起因するものとされています。

     

     

    廃棄パネルの環境リスクとリサイクル問題

    太陽光パネルの寿命は20~30年で、2030年代後半に大量の廃棄パネルが発生する見込みです。環境省の試算では、2039年には太陽光パネルの排出量が約77.5万トンとなると予想されています*******。

     

    鉛やフッ素樹脂など有害物質を含む太陽光パネルの不適切処理は、土壌汚染など環境被害を引き起こしかねません。

    特に、廃棄物処理業者に有害物質の含有情報が伝わっていないことが問題となっており、管理型最終処分場できちんとした処理が行われていないケースも指摘されています。

     

    *******資源エネルギー庁「2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題

     

     

     

     

    政府の規制強化と法改正の動向

    メガソーラー 問題

     

    メガソーラーをめぐる問題が深刻化する中、政府は規制強化に向けた動きを加速させています。ここでは、現在進行中の政府の取り組みと、今後の制度の方向性について詳しく見ていきましょう。

     

     

    安全性確認制度の導入と法令改正

    政府は第三者機関による設備安全性の確認制度を導入し、電気事業法の改正を進めています。設備容量10kW以上の発電所を対象に、壊れる可能性のある開発を抑制し、違反事業者への交付金停止措置も強化されました。

     

    林地開発許可違反者への罰則強化や自然公園法、文化財保護法の運用見直しも進行中です。

    また、経済産業省もFIT/FIP認定の厳格化を図っており、森林法の林地開発許可、宅地造成および特定盛土等規制法の許可、砂防三法(砂防法・地すべり等防止法・急斜面地法)の許可の取得を要件化しました。2024年4月からは、住民説明会の開催も要件化しています。

     

    環境省は2020年4月から環境影響評価(環境アセスメント)の対象にメガソーラーを含む法律を施行しました。これにより、発電容量40MW以上のメガソーラーの環境アセスメントが義務化され、30MW以上40MW未満のメガソーラーは個別判断となる第二種事業となりました********。

     

    ********環境省「太陽光発電の環境配慮ガイドライン

     

     

    補助金支援の見直しと市場連動型制度への移行

    太陽光パネルのコスト低下に伴い、2027年度以降の新規メガソーラー事業は補助金対象外となる方向です。

    FIT制度における買取価格は年々下落し続けており、2012年度に44円/kWhからスタートした買取価格は、2024年度には10kW以上50kW未満で10円/kWhまで低下しています*********。

     

    FIT制度から市場連動型のFIP制度へ移行し、価格変動リスクを事業者が負う形に変化しています。FIP制度では、FIT制度同様に一定の買取価格水準は保証されていますが、FITよりも割安で、市場での取引結果が買取価格に反映される仕組みになっています。

     

    このことにより、事業運営の質向上や系統安定化策の導入が求められています。太陽光が大量導入されると、需要を超える発電が生じる時間帯に、送配電事業者が再エネの出力制御(カット)を行います。とくに再エネ比率が高い地域では制御の頻度が上がり、収益性への影響が無視できません。

     

    *********資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2012年度~2024年度)

     

     

     

    メガソーラー問題の解決に向けた具体的な対策や取り組み

    メガソーラー 問題

     

    メガソーラーの問題を解決し、持続可能な再生可能エネルギー社会を実現するためには、多角的なアプローチが必要です。ここでは、これらの解決策について具体的に解説します。

     

     

    環境配慮と地域合意の強化

    メガソーラーは設置場所の適正選定や環境影響評価の徹底、地域住民への丁寧な説明と参加促進が不可欠です。環境省は2022年4月に施行した改正地球温暖化対策推進法で、市町村が住民の意見を聞いた上で再エネの「促進区域」を設定するポジティブソーニングの手法を導入しています。

     

    自治体の再エネ規制条例や禁止区域設定により、紛争の未然防止と合意形成も進んでいます。2010年代後半以降、全国の自治体で事業計画の事前届出、住民説明会の義務化、禁止区域の設定などを含む再エネ規制条例が相次いで整備されています。

     

     

    安全管理と技術的対策の推進

    設計・施工基準の厳格化、定期点検や災害後の迅速な安全確認が、事故の防止には欠かせません。NEDOの設計・施工ガイドとNITE資料に沿った予防保全が有効で、設置時の品質確保に加えて、台風・地震後の即時点検や定期的な配線・接続部の確認が不可欠です。

     

    高効率・耐久性の高いパネル導入や軽量化技術の活用により、災害リスクを低減できます。泥水や土砂などの流出防止に向けて、調整池の設置などの防災工事、排水溝設置などによる排水対策、盛土・切土やのり面の保護対策にどのように取り組むのかを、事前に地域住民へ説明することが重要です。

     

     

    廃棄パネルのリサイクルと費用負担の明確化

    リユース判定や再資源化ルートの確保、適正処理の徹底が環境負荷の軽減に直結します。環境省は、リユースの適否判定、再資源化の拡大、適正処理の徹底を明確化しました。最終処分場の逼迫を緩和し、資源を有効活用するために太陽光パネルのリユース(再使用)やリサイクル(再利用)が推進されています**********。

     

    また、撤去・原状回復費用の事前積立制度により、放置や不法投棄の防止も強化しました。経産省はガイドラインを設定し、撤去・原状回復費用の事前積立を強化し、放置・不法投棄の未然防止を図っています。

     

    *********環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)

     

     

     

    住んでいる地域とともに地球の環境も併せて考えよう

    メガソーラー 問題

     

    2024年の年間発電電力量に占める太陽光発電の割合は約11%に達し、メガソーラーは脱炭素社会の重要な柱といえますが、環境破壊や地域トラブル、安全性、廃棄問題など、多くの課題も抱えています。

     

    メガソーラーの問題は、再生可能エネルギーの普及と地域社会の持続可能性をいかに両立させるかという、現代社会が直面する重要な課題です。官民一体となった取り組みにより、問題のある再生エネルギー発電施設の建設を止めながら、日本全体では再エネを大きく増やしていかなければなりません。

     

    今後は、地域の環境だけでなく、地球全体の環境問題も併せて、私たち一人ひとりが多角的に判断していくことが求められています。