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日本でオーロラは見られる?観測できる場所や撮影テクニックも紹介

北極圏などの高緯度地域で見られる、神秘的な自然現象・オーロラ。高緯度のみで見られる現象というイメージですが、先月アメリカの南部アラバマ州からカリフォルニア州北部の広範囲でオーロラが観測されたことがニュースになりました*。
実は日本でも条件が揃えば観測可能で、2024年5月には日本の広範囲でオーロラが観測されたニュースが記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、日本でオーロラが見られる仕組みや具体的な観測スポット、最適な時期、撮影テクニックも詳しくご紹介します。
*BBC News Japan「アメリカ各地で異例のオーロラ タイムラプス映像で見る」
目次
オーロラとは何か?日本で見られる理由や仕組み

※出典:日本気象協会「オーロラって何?発生メカニズムや意外な観測スポットを解説」
オーロラとはどのようなものなのでしょうか。まずは、オーロラについて、発生するメカニズムや、日本でも見られる理由から確認していきましょう。
オーロラの発生メカニズム
オーロラは、太陽から放出された電離した粒子(プラズマ)が地球の磁場に導かれ、大気中の元素と衝突して発光する現象です。太陽から噴き出した電気を帯びた粒子は、地球の磁場の影響を受けながら、北極や南極の方向へと導かれていきます。
地球は巨大な磁石のような性質を持っていて、磁力線は北極と南極に集中しています。そのため、通常は高緯度地域でオーロラが観測されやすくなっているのです。オーロラが発生する高度は通常約100~250km程度とされていますが、太陽活動が活発なときには、上端が500〜800kmに達する場合もあります。
日本で見られるオーロラは「低緯度オーロラ」と呼ばれ、極地のオーロラよりも高い高度で発生し、赤みがかった色で見えることが多いことが特徴です。2024年5月に日本各地で観測された低緯度オーロラは、通常よりも高い1,000km以上の高度で発生していたことが研究によって明らかになりました**。
**国立極地研究所「2024年5月に日本に現れたオーロラの色の謎を解明~日本全国から寄せられた写真を解析~」
日本でオーロラが見られる理由
日本は緯度が低いため、通常だとオーロラ観測は難しいものの、大規模な太陽フレアや磁気嵐が発生すると太陽風が強まり、低緯度オーロラが発生します。太陽フレアとは太陽の表面で起こる爆発現象で、この爆発により大量のプラズマ粒子が宇宙空間に放出されます。
日本で観測できるオーロラは主に北の空に現れ、赤色が強いことが特徴です。これは高度の違いによるもので、オーロラの上端は空気が薄いため酸素原子が赤く発光します。古くは「赤気(せっき)」と呼ばれていた歴史的記録もあり、日本人は古来この神秘的な現象を目撃してきたとされています。
日本国内でオーロラが見られる場所と条件

オーロラの発生メカニズムが分かったところで、次に気になるのは「実際にどこに行けば日本でオーロラを見ることができるのか」という点かもしれません。日本でも場所と条件を選べば、観測のチャンスは十分にあります。ここでは、日本国内でオーロラ観測に適した地域や、観測成功のための天候・環境条件、そして狙い目の時期・タイミングについて詳しく紹介します。
日本でオーロラ観測に適した地域
日本でオーロラを見るなら、北海道の高緯度地域が最も観測しやすく、稚内市、網走市、根室市、名寄市、陸別町などで目撃例が多いと報告されています。特に、陸別町は「オーロラの町」として知られ、2023年には4回オーロラを観測し、世界的に有名なオーロラ研究者が「低緯度オーロラの理想的なスポットの拠点」と発表したほど気象環境がよい場所です。
北の空が開けている場所や海岸線近くは、視界がよく遮蔽物が少ないため、オーロラ観測に適しています。小樽市の海岸では、水平線の上がうっすらとピンク色に染まる低緯度オーロラが肉眼でも確認できたという事例もあります。
なお、陸別町には「りくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)」、名寄市には「なよろ市立天文台きたすばる」といった施設があり、オーロラ観測や星空観測が盛んに行われています。このような施設から観測するのもおすすめです。
オーロラ観測に適した天候と環境条件
オーロラの観測には、晴天かつ雲がない夜で、月のない新月期や月明かりが弱い日が望ましいとされています。雲が空を覆っていると、せっかくのオーロラも見ることができません。天気予報をしっかりとチェックして、晴天の日を狙いましょう。
光害が少なく、可能な限り真っ暗なスポットを選ぶことが、低緯度オーロラの観測には必須条件とされています。低緯度オーロラのほんのりとした光は、街灯や月の光に負けてしまう可能性が高くなるためです。
光の少ない環境を選ぶことで、低緯度オーロラの薄い光も見つけやすくなります。人口密度の低い地域や、市街地から離れた場所を選ぶことが重要といえるでしょう。
オーロラが見られる時期やタイミング
オーロラは季節に関係なく発生しますが、夜が長く空が暗い、秋から冬にかけてが最も観測しやすくなります。太陽フレア発生後2日前後が観測チャンスで、宇宙天気予報を活用してタイミングを狙うと効果的です。
2024年5月11日には、数日前に発生した大規模な太陽フレアの影響で、日本をはじめ世界各地で低緯度オーロラが目撃されたという観測例があります。このように、太陽フレアの発生から数日後に地球に影響が及ぶため、宇宙天気情報を定期的にチェックすることが重要です。
情報通信研究機構(NICT)が運営する「オーロラ・アラート」や、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の「宇宙天気予報」などのウェブサイトでは、リアルタイムで太陽風の状況やオーロラの出現予報を確認できます***。
なお、2024年以降は太陽活動の極大期にあたり、オーロラ観測の好機が増えています。この好条件は2025年末頃まで続くと予想されているため、今が日本でオーロラを見る絶好のチャンスといえるでしょう。
***情報通信研究機構「オーロラ・アラート」、NOAA「宇宙天気予報」
日本でオーロラ観測に行くための準備と注意点

観測場所や条件が分かったら、次は実際にオーロラ観測に出掛けるための準備を整えましょう。日本でのオーロラ観測は、真夜中に野外で長時間過ごすことになるため、適切な装備と準備が欠かせません。美しいオーロラを記録に残すための撮影テクニック、安全に観測を楽しむための注意事項も併せてご紹介します。
オーロラ観測に適した服装や持ち物
日本でオーロラを観測しやすい北海道の夜は冷え込むため、防寒性の高いダウンジャケットや手袋、帽子、厚手の靴下が必須です。観測時はほとんど体を動かさないため、真夜中に野外でじっとしていると想像以上に寒さを感じるはずです。
9月頃であっても、オーロラ観測にはダウンジャケットが必要です。冬季に訪れる場合には、やや大げさに感じるほどの防寒装備を身に付けて臨むようにしてください。
三脚や一眼カメラ、予備バッテリーなどの撮影機材を準備し、スマートフォンでも撮影できるよう設定を確認しておきます。寒冷地ではバッテリーの消耗が早いため、予備も用意しておくと安心です。また、暗闇での行動になるため、懐中電灯やヘッドライトも忘れずに準備しましょう。
オーロラ撮影の基本テクニック
三脚を使い、ISO感度や露出時間を調整して長時間の露光撮影を行うことで、肉眼では薄くて見えにくいオーロラも鮮明に写せます。また、オーロラは広範囲を動いたり広がったりするため、広角レンズを使うと全体像を捉えやすくなりおすすめです。
あらかじめ何度か撮影してみて、白飛びしない程度のISO感度や露出に設定するようにしましょう。日によって撮影環境が大きく変わるため、その場でちょうどよい設定を都度探らなくてはなりません。
スマートフォンのカメラも進化しているため、専用アプリやナイトモードを活用すれば撮影可能です。比較的新しい機種であれば、長時間露光モードを使って美しいオーロラを撮影できます。撮影前に設定方法を確認しておくと、実際の観測時にスムーズに撮影できるでしょう。
オーロラ観測時の安全対策やマナー
オーロラ観測は暗い山間部や郊外で行うことが多く、ヒグマの生息地も多い北海道では、目撃情報を事前に確認するようにしてください。地元の自治体や観光協会のウェブサイトなどで、ヒグマの最新の目撃情報をチェックできます。
開けた土地は夜空を見上げやすい場所であるものの、農業用地などの私有地であるケースも多いため、注意が必要です。観測場所を選ぶときは、私有地に該当しないか事前に確認しておきましょう。
絶好のタイミングを逃さず、日本でオーロラを鑑賞しよう

日本でオーロラを見るには、太陽活動の状況や天候、観測場所の選定が重要です。宇宙天気予報をこまめにチェックし、太陽フレアが発生した2日後を目安として、観測の準備を始めましょう。
北海道などの高緯度地域で、光の少ない晴天の夜に、防寒対策や撮影機材をしっかり準備して挑戦することが成功の鍵となります。
また、2024年から2025年にかけては太陽活動の極大期にあたり、日本でのオーロラ観測には絶好のタイミングです。情報通信研究機構の「オーロラ・アラート」やNOAAの「宇宙天気予報」で最新の情報をチェックしながら、ぜひ日本でのオーロラ観測にチャレンジしてみてください。


