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暗渠排水を導入するデメリットとメリット|後悔しないための判断ポイント

暗渠排水の穴を自分で堀る

 

暗渠排水を検討する際、導入するデメリットが気になり、一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

「工事費用がかかる」「詰まりに気づきにくい」といった話を聞くと、不安になるのも当然です。

とはいえ、暗渠排水には、排水性能の向上や土地の有効活用など、導入すべきメリットも数多くあります。

本記事では、暗渠排水のデメリットとメリットの両方を整理し、後悔しないための対策や向き・不向きについても紹介します。

 

 

目次

     

     

     

    暗渠排水とは

    畑に自分で暗渠排水を作る

     

    暗渠排水とは、地中に排水管や疎水材を埋設し、土壌中の余分な水分を排出する排水方法です。地表に溝を掘る明渠(めいきょ)とは異なり、地下に水の通り道を作る点が特徴といえるでしょう。

    暗渠排水は、土壌中の水を集める吸水渠(きゅうすいきょ)、それを集約する集水渠(しゅうすいきょ)、地下水位を調節する水閘(すいこう)、排水路へ放流する排水口で構成され、農地の湿田対策や、住宅の庭・グラウンドの水はけ改善に利用されています。

    管材にはポリ塩化ビニル管や高密度ポリエチレン管などが使われ、管の周囲には疎水材として砕石やもみ殻を充填します。なお、管の周囲に透水シートを巻く工法もありますが、当社では管そのものの構造で土砂の侵入を抑える設計を推奨しています(詳細は後述)。

    水田では、地下60〜80cm程度の深さに暗渠管を埋設するケースが多く見られます*。

    *農林水産省「土地改良事業計画設計基準 計画 『暗渠排水』」

     

     

    暗渠排水を導入するメリット

    暗渠排水が導入された畑

     

    暗渠排水を導入すると、土地を改善できるメリットが多くあります。ここでは、排水性能や土地活用、安全性、衛生面など、代表的なメリットを紹介します。

     

    排水性能が向上し、作物や土壌の状態が改善する

    湿田の乾田化が進み、作物の根腐れを防ぎやすくなることが暗渠排水を導入するメリットです。

    埋設した暗渠管が土壌中の余分な水分を集めて排水路へ導くことで、土壌の通気性や水分バランスが改善されます。降雨後の水はけが良くなり、農作業機械の進入や作業再開も早まります。

     

    作物の収穫量の増加・品質の向上につながる

    排水性能の向上によって生育環境が改善し、収穫量の増加や品質の向上につながることもメリットです。根が健全に育つことで湿害や病害の発生も抑えやすくなります。豪雨や長雨の際にも作土層に水が滞留しにくくなるため、天候に左右されにくい営農条件を整えやすくなるでしょう。

     

    土地を有効活用できる

    地下に埋設されるため、地表を駐車場や庭、農地としてそのまま活用できることもメリットです。明渠のように水路分のスペースを確保する必要がないため、限られた土地を最大限に使えます。特に敷地の狭い住宅地や、区画を効率良く使いたい農地では、この土地利用効率の高さが大きな利点となります。

     

    安全性が高く、景観もすっきりする

    地表に溝がないため、人や物が転落するリスクが低く、子どもやペットがいる家庭でも安心である点もメリットのひとつです。地表がすっきりするため、都市部や住宅地の景観向上にもつながります。明渠のように柵や蓋の設置・維持管理が不要になる点も、住宅地では扱いやすいポイントといえるでしょう。

     

    環境衛生が改善する

    地表に水路がないため、雑草の繁茂や害虫の発生、悪臭の原因が減り、衛生環境が向上することもメリットです。明渠のように定期的な草刈りやゴミ除去といった手間もかからず、周辺住民にとって快適な環境を保ちやすくなるでしょう。

     

    適切に設計・施工すれば、長期間機能を維持できる

    地中に埋設されているため、紫外線や気象条件による劣化を受けにくいこともメリットです。埋設後の点検が容易でないぶん、詰まりにくい管材を選定し、排水先まで含めて設計しておくことが重要になります。選定と設計の段階で耐久性を確保しておけば、長期にわたって機能を維持しやすくなります。

     

     

    暗渠排水を導入するデメリット

    暗渠排水には多くのメリットがある一方で、導入前に知っておきたいデメリットもあります。事前に把握して、対策とセットで検討するようにしましょう。

     

    初期費用の負担がある

    暗渠排水は掘削・管材の設置・疎水材の充填・埋め戻しと工程があり、一定の初期費用が必要です。

    費用は施工延長や埋設深さ、土質、排水先までの距離で大きく変わるため、1mあたりの単価だけで妥当性は判断できません。見積もり比較では、管材・掘削・疎水材・排水先への接続・残土処分がどこまで含まれるかを確認しましょう。

     

    詰まり・故障に気づきにくい

    地中に埋設されるため目視できず、閉塞や破損の発見が遅れやすい面があります。実際の施工では点検口を設けないケースが一般的で、埋設後に内部を確認する手段は限られます。だからこそ重要なのが、そもそも詰まりにくい暗渠管を選定することです。吸水孔の形状や開口率、断面構造は製品ごとに差があり、長期的な排水性能を左右します。

     

    修理・補修が大掛かりになりやすい

    不具合が発生した際は再掘削が必要になることが多く、大規模な工事につながりやすいことも、暗渠排水を導入するデメリットのひとつです。埋設位置や深さによっては、周囲の舗装やフェンス、植栽などを一度撤去してから掘り直す必要も出てくるでしょう。

    特に、建物や道路の下に設置された暗渠では、修理のための接近自体が難しくなることもあるため、施工前にルートを慎重に検討することが大切です。

     

    閉塞リスクが徐々に高まる

    土砂の流入や木の根の侵入により、経年で目詰まりが進行し排水機能が低下する場合があります。特に樹木の近くでは、管の吸水孔や接続部から根が入り込むことがあります。なお透水シートを巻く工法も紹介されますが、シート表面に細粒土が堆積して透水性が低下する例もあり、当社では管の構造で土砂の侵入を抑える設計を推奨しています。

     

    施工に専門技術と時間が必要

    正確な勾配確保や埋設深さの管理など技術難易度が高く、専門業者への依頼が前提となる点もデメリットです。勾配が不足すると、管を入れても水は流れません。実績のある業者を選べば、大きな不安材料にはならないでしょう。

     

    環境・生態系へ影響する場合がある

    暗渠排水は地中の水を積極的に排除する工法のため、施工範囲とその周辺の地下水位を低下させます。

    これは乾田化という目的そのものですが、近くに湿地環境や水生生物の生息場所がある場合は環境が変化する可能性があります。広範囲の施工では、排水先の受け入れ能力とあわせて事前確認が望ましいでしょう。

     

     

    暗渠排水を導入するデメリットを抑え、メリットを活かすポイント

    畑の暗渠排水工事

     

    暗渠排水のデメリットは、設計段階の工夫によって軽減できます。ここでは押さえておきたいポイントを紹介します。

     

    詰まりにくい暗渠管の選定

    埋設後の点検・清掃が容易でない以上、施工後の管理でカバーするより、選定段階で閉塞リスクを下げる考え方が有効です。吸水孔の形状や配置、開口率、管の剛性と断面形状によって、土砂の侵入しにくさや通水性能は変わります。価格だけでなく、構造上の違いまで確認して選定しましょう。

     

    疎水材の適切な選定と施工

    暗渠管の周囲に充填する疎水材(砕石やもみ殻など)は、土中の水を管まで導く水みちをつくります。粒度が土質に合っていなかったり充填量が不足したりすると、管まで水が届かず効果が得られません。管材と同様、現場の土質条件に合わせた選定・施工が必要です。

     

    信頼できる施工業者の選定

    施工実績が豊富で信頼できる業者に依頼することで、初期費用に見合った品質と耐久性を確保しやすくなります。見積もりを比較する際は、金額だけでなく、掘削の深さや排水先の確保まで含めた説明があるかも確認しておくと安心です。

     

     

    暗渠排水はどんな土地・用途に向いている?

    水たまりのできる農地

     

    メリット・デメリットを踏まえた上で、暗渠排水の導入に向いている土地や用途を紹介します。

     

    湿田対策をしたい農地

    暗渠排水は、湿田を乾田化したい、作物の根腐れを防ぎたいというケースに適しています。

    降雨後も水がたまりやすく、農作業機械の進入や作業再開が遅れがちな水田・畑地では、暗渠排水の導入効果を実感しやすいでしょう。

     

    水はけの悪い粘土質の土地

    粘土質で水が浸透しにくく、雨の翌日以降もぬかるみが残る土地は導入に適しています。

    粘土質の土は粒子が細かく水を通しにくいため、表面の勾配調整だけでは改善しきれないことが多く、地中の水を能動的に排除する暗渠排水が効果を発揮しやすい条件です。

     

    地表を有効活用したい土地

    グラウンドや駐車場など、地表のスペースを別の用途に使いたい場合にもメリットを発揮します。

    明渠のように水路用地を別途確保する必要がないため、限られた敷地面積を最大限に使いたいケースに向いています。

     

     

    暗渠排水の導入はメリットとデメリットを踏まえて判断しよう

    暗渠管工事の完成

     

    暗渠排水は、排水性能の向上や土地の有効活用など、多くのメリットがある一方で、費用・メンテナンス面のデメリットもあります。

    ただし、詰まりにくい管材の選定、土質に合った疎水材の施工、排水先まで含めた設計によって軽減が可能です。土地の条件や用途に合った選択が、後悔しない排水計画につながります。

     

    暗渠排水に関するよくある質問

    Q.暗渠排水のデメリットが不安ですが、導入しても大丈夫ですか?

    A.埋設後の点検が難しい性質はありますが、詰まりにくい管材の選定と、排水先まで含めた適切な設計により、多くのリスクは事前に抑えられます。メリットと併せて総合的に判断することが大切です。

     

    Q.暗渠排水と明渠排水はどちらがおすすめですか?

    A.土地の条件や目的によって適した方法は異なり、費用面でも一概にどちらが安いとはいえません。明渠は目視点検がしやすい一方、水路用地が必要で草刈りや土砂上げが継続的に発生します。暗渠は地表を有効活用でき機械作業にも有利ですが、管材の選定と設計が性能を左右します。地表を使いたいケースでは暗渠、目視管理を重視するケースでは明渠が選択肢になります。

     

     

    暗渠排水や土地の水はけ改善については、以下の記事も併せてご覧ください。

    家周りの土地の水はけが悪い!その影響と改善方法とは

    グラウンドの水はけが悪い! 水たまりの水抜きや改善する方法を紹介