SDGs
サーキュラーエコノミーとは?注目される背景や日本の企業事例も紹介
気候変動や資源枯渇のリスクが高まる中、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」という考え方が世界中から注目されています。これは、従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」型経済から脱却し、資源を可能な限り循環させながら価値を生み出すための新たな経済モデルです。
今回は、サーキュラーエコノミーの基本概念から、注目される背景、日本企業の事例までわかりやすくご紹介します。
目次
サーキュラーエコノミー(循環経済)とは
※出典:環境省「令和3年度版 環境白書」
サーキュラーエコノミーとは、資源の投入量や消費量を最小限に抑えながら、既に存在する製品や素材の価値をできるだけ長く保ち、有効活用する経済モデルです。製品や部品、原材料を「捨てる」のではなく、「再利用・再生・サービス化」することで、資源の無駄を減らし、環境への負荷を軽減します。
このモデルでは、「生産→消費→廃棄」という直線的なリニアエコノミーに代わり、資源を循環させることで、持続可能な成長と環境保全の実現を目指します。EUを中心に国際的な政策が進められており、日本でも環境省が積極的な推進を行っています*。
*環境省「令和3年度版 環境白書」
サーキュラーエコノミーが注目されている背景
サーキュラーエコノミーが日本で注目を集める背景には、現在日本社会が直面しているさまざまな課題があります。その課題には、以下のようなものが挙げられます。
資源制約・リスク(経済の自律性)
世界人口の増加と経済成長により、鉄、銅、レアメタルなどのマテリアル(素材・原材料)に対する需要は、年々高まっています。しかし、これらの資源は有限であり、価格の変動や供給不安が経済に大きな影響を及ぼすリスクもあります。特に、日本にはない資源であるため、輸入に頼らざるを得ません。
サーキュラーエコノミーは、こうした資源依存を軽減し、自国で資源を循環させることで、経済の安定性と自律性を高める手段として注目されています。
環境制約・リスク
※出典:経済資源エネルギー庁「成長志向の資源循環経済システム「サーキュラーエコノミー」(前編)どんな課題を解決するの?」
大量生産・大量廃棄の経済モデルでは、廃棄物の処理が深刻な課題です。特に、有害廃棄物やプラスチックごみの国際的な移動は「バーゼル条約」などによって制限されるようになっており、輸出入に頼った処理が難しくなっています。
そのため、日本では国内で廃棄物を出さず再資源化する仕組みの必要性が高まり、サーキュラーエコノミーの導入は現実的な選択肢といえるでしょう。
成長機会
サーキュラーエコノミーは単なる環境対策ではなく、新たな経済成長の機会でもあります。欧州委員会の報告では、サーキュラーエコノミーの導入により、2030年までに数十万人の雇用創出や数兆円規模の市場が形成されると予測されています。
日本国内でも、再生素材の需要やシェアリングサービスの拡大、製品の長寿命化などを通じて、新たなビジネスチャンスが生まれつつあります**。
**経済資源エネルギー庁「成長志向の資源循環経済システム「サーキュラーエコノミー」(前編)どんな課題を解決するの?」
再生可能エネルギーについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
日本企業におけるサーキュラーエコノミーの取り組み事例
日本国内でも、サーキュラーエコノミーの概念を取り入れた取り組みが広がりつつあります。ここでは、さまざまな業界の企業による、代表的な取り組み事例をいくつかご紹介します。
株式会社ファーストリテイリング
株式会社ファーストリテイリングのブランド「ユニクロ」では、リユース・リサイクル活動「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」を展開。不要になった衣類を回収し、再利用・再資源化しています。また、その一部は、難民支援などの社会貢献活動にも活用されています***。
***株式会社「RE.UNIQLO:あなたのユニクロ、次に生かそう。 | 服のチカラを」
レコテック株式会社
建設現場やイベント会場で出る廃棄物をデジタル管理し、最適なリサイクルルートへ誘導する仕組みを提供する、株式会社レコテック。2007年の創業以来、資源循環プラットフォームの構築に取り組んでいます。独自のプラットフォーム資源循環プラットフォーム「pool」により、「廃棄物を資源に変える」高度な循環モデルを実現しています****。
****レコテック株式会社ホームページ
日本コカ・コーラ株式会社
日本コカ・コーラは、「ボトルtoボトル」リサイクルに注力。使用済みペットボトルを回収し、再びボトルへと再生することで、資源の循環とプラスチック削減の両立を目指しています。
また、2022年から、国内で販売する5ブランド37製品に100%リサイクル素材のペットボトルを使用。ラベルレス製品は8ブランド18製品となり、いずれも今後順次拡大されていく予定です*****。
*****日本コカ・コーラ株式会社「コカ・コーラシステム、「ボトルtoボトル」を加速 2021年のサステナブル素材使用率が40%に WWFジャパン「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」へ参画、循環型社会の実現に貢献」
クリーンインフラについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
グリーンインフラとは?取り組むメリットや事例をわかりやすく紹介
サーキュラーエコノミーは持続可能な社会に欠かせない
サーキュラーエコノミーは、限りある資源を有効活用しながら、環境への負荷を抑えつつ経済的な価値を生み出す、これからの時代に必要不可欠な経済モデルです。製品の長寿命化や再利用・再資源化を促進することで、持続可能な社会の実現に近づくことができるでしょう。
日本国内にある企業でも、アパレル、建設、飲料、家電、食品などさまざまな分野でサーキュラーエコノミーへの取り組みが始まっており、今後さらにその動きは加速すると考えられます。
実は、弊社二ホン・ドレン株式会社の今春竣工した新社屋には、サーキュラーエコノミーの考え方を取り入れています。「雨を纏う(まとう)」をコンセプトとして設計され、敷地全体で雨水の循環される仕組みです。
以下は新社屋の仕組みについて詳しくご紹介した動画ですので、ぜひご視聴ください。
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