水とくらし
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排水口の詰まりはコーヒーかすが原因?黒部市の独自システムとは
毎朝コーヒーをいれた後、残ったコーヒーかすをそのまま流しに捨てていませんか?実は、キッチンの排水口が詰まる原因になっているかもしれません。
今回は、キッチンの排水口が詰まる原因や富山県黒部市のコーヒーかすを使った取り組み、家庭でできるコーヒーかすの活用法について、詳しくご紹介します。
目次
キッチンの排水口が詰まる原因
キッチンの排水口は、家庭にある水回りの中でも特に詰まりやすい場所です。キッチンの排水口が詰まってしまうと不衛生であるのはもちろん、食事を作る場所に不快な下水のにおいが漂ってくることも。
ここでは、キッチンの排水口が詰まる主な原因を見ていきましょう。
溜まった食材のかす
キッチンで料理をする際に出る野菜くずや食べ残しなどといった食材のかすは、排水口の目皿やトラップに引っかかりやすく、放置すると徐々に水の流れを妨げます。
特に、キャベツの芯や皮類、米粒などは排水口の奥に入り込みやすく、悪臭の原因にもなります。これらの食材のかすは、日々こまめに取り除くことが排水口の詰まり予防の基本です。
油汚れ
調理中に出る油や食器についた油分は見えにくいことから、非常に厄介なキッチンの排水口の詰まりの原因といえます。
排水管の内側に油が付着すると、冷えて固まり、徐々に蓄積して排水管の幅を狭くしていきます。そこへさまざまなゴミが付着すれば、詰まりの原因になりかねません。
使用後のフライパンや皿は排水口に油を直接流さないで済むように、キッチンペーパーで拭き取ってから洗うようにしましょう。
コーヒーかす
ドリップした後のコーヒーかすも、排水管の詰まりを引き起こす大きな原因のひとつです。
コーヒーの粉は非常に細かくて水に溶けないため、排水管の中で蓄積しやすいという特徴があります。さらに、油汚れや食材のかすと結びつくことで排水管内にこびりつきやすくなり、水の流れを妨げます。
キッチンの排水口については、こちらの記事も併せてご覧ください。
「コーヒーのかすをキッチンの排水口に流してほしい」と呼びかける富山県黒部市
※出典:黒部市役所「コーヒー粕は下水へ(脱炭素の取組)」
一般的には、コーヒーかすは詰まりの原因になるため、キッチンの排水口へは流さないようにするのが常識です。
しかし、富山県黒部市では、あえて「コーヒーかすを排水口に流してほしい」と市民に呼びかけるといったユニークな取り組みを行っています。その背景には、黒部市が導入している、下水処理と環境エネルギーを融合させた最先端のエコシステムが存在があります。
コーヒーかすからバイオガスを取り出す、独自のエコシステムのある黒部市
※出典:黒部市役所「コーヒー粕は下水へ(脱炭素の取組)」
黒部市の下水処理施設では、家庭から排出される下水汚泥とともに、コーヒーかすも一緒に発酵させて処理する仕組みを導入しました。有機物を微生物の働きによって分解し、バイオガスを発生させています。通常は処理しきれないコーヒーかすも、このシステムによって再資源化が可能となっています*。
バイオマスエネルギーを施設全体で活用
このシステムによって得たバイオガスは施設内の発電や加温などに再利用されており、再生可能エネルギーとして循環しています。黒部市では、地域のごみをエネルギーに変える「循環型社会」のモデルケースとして、この仕組みを市民に積極的に紹介しています*。
*黒部市役所「コーヒー粕は下水へ(脱炭素の取組)」
コーヒーかすの再活用方法
黒部市のように排水口に流せるような施設がなくても、コーヒーかすはただ捨てるだけのゴミではありません。コーヒーかすはしっかり乾燥させれば、さまざまなものに再利用することが可能です。日常生活で役立つ、コーヒーかすの再活用法を3つご紹介します。
コーヒーかすを消臭剤や脱臭剤として使う
コーヒーかすにはにおいを吸着する効果があり、手軽な消臭剤や脱臭剤として活用できます。冷蔵庫の中や靴箱、魚焼きグリル、生ごみのごみ箱の中などに置いておくだけで、気になるにおいを除去してくれるでしょう。
しっかり乾燥させたコーヒーかすをガーゼや不織布の袋に入れるだけで作れるので、市販の消臭剤・脱臭剤よりも自然で安全な方法として人気があります。
コーヒーかすを肥料として使う
植物を育てている方にとっては、コーヒーかすを肥料として利用するのもおすすめです。コーヒーかすには、微量ながら窒素やリン、カリウムといった栄養素が含まれており、家庭菜園や観葉植物の肥料・堆肥として使うことができます。
ただし、コーヒーかすを使用する際は、乾燥させた後に土とよく混ぜ、量を調整しながら使いましょう。入れすぎるとカビが発生したり、酸性に偏りすぎることがあるので注意が必要です。
コーヒーかすを虫よけ・ネコよけとして使う
コーヒーかすの強い香りは、虫やネコを遠ざける効果があるとされています。
たとえば、花壇や家庭菜園の周囲にまいておくと、アリやナメクジなどの虫を遠ざけたり、近所のネコが侵入するのを防いだりすることが可能です。また、乾燥させたコーヒーかすを蚊取り線香のように燃やせば、煙による虫よけ効果も期待できます。
土作りについては、こちらの記事も併せてご覧ください。
コーヒーかすは排水口に流さず再利用しよう!
コーヒーかすはそのままキッチンの排水口に流すと、油汚れや食材のかすと絡み合って詰まる原因となってしまうため、流さないようにしましょう。一方で、富山県黒部市のように、排水口に流したコーヒーかすをバイオガスとして再利用する、画期的な取り組みが開始されている地域もあります。
また、コーヒーかすは、消臭剤や肥料、虫よけなど、さまざまな再利用方法があります。よく乾燥させて保管すれば、ゴミの削減にもつながります。コーヒーかすを賢く活用して、キッチンの排水口の詰まりを防ぎながら、家庭でも環境にもやさしい暮らしを実現しましょう。