導水樋
水とくらし
【暗渠排水】暗渠排水工事の事例まとめ
暗渠排水工事とは
暗渠排水工事とは、地中に透水管を埋設し、地下に滞留した余分な水(余剰水)を効率的に排出する工法です。
水はけが悪く、地面がぬかるみやすい土地では、雨水や地下水が原因で地盤が緩むおそれがあります。
暗渠排水を施すことで、地下に浸透した余分な水を外部へ導き、水はけを改善できます。
山間傾斜地・宅地・農地・駐車場・グラウンドなど、水はけ対策が必要なさまざまな現場で採用される代表的な排水工法の一つです。
目次
排水工法の種類と比較
排水工事には、現場の条件や目的に応じていくつかの工法があり、それぞれ特性や施工方法が異なります。
現場によっては地盤が水を含みやすく、ぬかるみ・地盤沈下・法面崩壊などのリスクが高まるため、目的に合った排水工法の選定が非常に重要になります。
ここでは、代表的な「暗渠排水」「土留排水」「ボーリング排水」について、特徴や適した用途をわかりやすく解説します。
暗渠排水
地下に透水管や砕石層を設置し、地中の水を集めて外部へ排出する工法です。
広い面積の表層近くに滞留する水を効率的に処理できるため、農地や宅地、工場敷地などでよく採用されます。
主な特徴:
- 水がたまりやすい土地の地盤改良に適している
- 比較的浅い場所の水を対象とする
- 施工後も地表を有効活用できる(舗装・植栽など)
向いている場所:
- 農地(稲作や畑など)
- 宅地造成地
- 駐車場やグラウンド
土留排水
擁壁や法面の裏側に排水パイプや透水シートを設置し、背面にたまった浸透水や水圧を逃す工法です。
土圧の増加を防ぐことで、構造物の安全性を高める効果があります。
主な特徴:
- 擁壁の倒壊防止や法面の崩壊防止に有効
- 裏込め材と組み合わせて使うことが多い
- 構造物と一体的に設計することが多い
向いている場所:
-
擁壁の背面
-
法面(のりめん)や切土部
-
山間部や造成地の斜面
ボーリング排水
専用の機械で地中深くまで孔(あな)を掘り、水を抜く工法です。地下水位の高い地盤や、滑動の恐れがある盛土部などで用いられます。
地下深部からの排水が可能なため、他の工法では難しいケースにも対応できます。
主な特徴:
- 地下水位の調整ができる
- 深層部の軟弱地盤対策にも有効
- 専用機械が必要で施工コストはやや高め
向いている場所:
-
盛土部(道路、鉄道など)
-
滑りやすい傾斜地
-
地下水位が高く排水しにくい現場
工法名 | 特徴 | 適した場所 |
暗渠排水 | 地中に管を埋めて排水 | 宅地・農地・駐車場など |
土留排水 | 擁壁や法面の裏の水を抜く | 造成地・法面・切土部など |
ボーリング排水 | 地中深くに孔を掘って排水 | 盛土・滑りやすい地盤など |
今回は暗渠排水に絞り、ニホン・ドレンの看板商品である「ミツバ・ドレン」を中心とした暗渠排水工事の事例を5つご紹介します。
▶︎土留排水、ボーリング排水の記事はこちら:準備中
事例1:七騎坂トンネル(島根県)
場所:島根県大田市
現場の課題
トンネル内の線路下に設置されている排水溝が詰まっている状態で、暗渠排水管で排水不良を改善したいとのご要望がありました。
泥が多いため、メンテナンスも容易にできる方法をとる必要がありました。
工事内容
排水溝の縦断方向にミツバ・ドレンφ250 / 270m敷設、50mおきに集水桝を設置しました。
集水桝には泥溜めを150㎜設け、メンテナンスを可能としました。
改善結果
排水管の敷設と集水桝の設置により、トンネル内の排水不良が改善され、ぬかるみが解消しました。
集水桝に設けた泥溜めにより、泥の堆積にも対応できてメンテナンスも容易な構造となっています。
事例2:新築住宅(石川県)
場所:石川県加賀市
現場の課題
個人住宅の新築工事現場で、敷地裏が山、擁壁の上には水路が通る地形でした。
擁壁の裏側から回り込んできたと見られる地下水の影響で、住宅の裏手と横手が常に湿った状態となっており、施主は水はけの悪さに悩まれていました。
せっかくの新築住宅で庭や家庭菜園を楽しみたいというご希望があったものの、日常的なぬかるみが大きな障害となっていました。
工事内容
敷地裏側の湧水と思われる箇所にミツバ・ドレンを横断的に設置し、敷地前面の側溝まで排水ラインを確保しました。
また、車庫裏側の基礎部にも湿気が残っていたため、基礎前にもドレンを追加設置し、全体として安定した排水ルートを形成しました。
改善結果
施工後は水はけが大きく改善され、敷地のぬかるみが解消されました。
お施主様からは「本日大雨になっておりますが、水捌けが改善しているようです。山からの水に悩まされておりましたところ、助けていただき大変感謝しております」とのお声をいただきました。
事例3:湧水箇所がある急斜面(愛媛県)
場所:愛媛県西予市
現場の課題
林業専用道「横松線」の開設にあたり、林道となる急斜面に地下水が湧き出す箇所がありました。
以前にプレスト管φ300による暗渠排水対策が実施されていたものの、十分な排水効果が得られず、斜面の崩壊が発生していました。
長期的な安全性を確保するためには、確実に排水できる新たな対策が必要とされていました。
工事内容
湧水箇所に対してミツバ・ドレンφ300を採用しました。
斜面下部に排水路を確保しつつ、砕石を併用した法面整備を行い、湧水が地表へ出ないよう排水構造を強化しました。
改善結果
施工後は、湧水付近の砕石が乾燥状態を保ち、斜面全体の湿気も明らかに減少。
従来の排水方法では抑えきれなかった湧水を効果的に処理できたことで、斜面の安定性が確保され、林道開設に必要な安全条件が整いました。
事例4:産業団地溜池(山形県)
場所:山形県
導入の背景
山形県内の産業団地において、溜池の拡張工事に伴い法面排水の整備が行われました。
法面の排水機能を確保するため、初めてミツバ・ドレンφ100が採用されました。
工事内容
(施工業者へのヒアリングをもとに)
砕石の上にミツバ・ドレンを設置するだけのシンプルな工法で設置いただきました。
継手部には直継手を使用し、現場での調整・接続作業もスムーズに行われました。
改善結果
「砕石上に置いていくだけで施工できるので、非常に作業しやすかった」
「直継手もサイズに余裕があり、接続に時間がかからないのが良い」と、初採用ながら高評価をいただきました。
事例5:国道122号蓮田岩槻バイパス道路(埼玉県)
場所:埼玉県さいたま市
現場の課題
国道122号のバイパス道路改良において、透水性アスファルトを採用する区間で、湧水の多い地盤条件が判明しました。
1時間あたり28〜43m³という大量の湧水が確認されており、盛土の圧が浅いため、耐圧性の高い暗渠管が求められる状況でした。
また、湧水による路盤支持力の低下を防ぎ、安定した舗装基盤を確保することが課題となっていました。
工事内容
全長86mという短区間で高効率な集排水を実現するため、ミツバ・ドレンφ200を複列(2列)で配管しました。
周囲には単粒度砕石を巻き、上層部のみ不織布で保護する構造を採用したことで、効率的に水を集め、道路構造に与える影響を最小限に抑える設計としました。
改善結果
高い集水性能と耐圧性を持つミツバ・ドレンによる排水が安定して機能したことで、湧水による路盤の不安定化を防止できました。
その結果、予定通り舗装工事へと着手でき、工程の遅延なく道路改良が進行しました。
湧水対策の暗渠管施工はお任せください
弊社は長年にわたり、構造物の湧水・漏水対策において豊富な実績と専門技術を培ってまいりました。
グラウンドから造成地、道路、トンネル内など、現場に合わせて最適な方法で、抜群の集水能力と耐圧性能を備えた集束型排水管「ミツバ・ドレン」の施工が可能です。
重要インフラでの施工実績も多数あり、氷柱形成防止や排水経路の明確化、メンテナンス負担軽減など、効果的な解決策をご提案します。
安全性向上と維持管理効率化に貢献します。
お客様のご要望に添った暗渠管施工は、ぜひ弊社にお任せください。