プラスチック

プラスチックのリサイクル方法3種!リサイクルの現状や課題も解説

プラスチック リサイクル

 

プラスチックを製造する過程で生じるプラスチックの破片や、不要になって廃棄処分されるプラスチック製品を、産業廃棄物用語では「廃プラスチック類」といいます。「合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等固形状・液状のすべての合成高分子系化合物」が該当します。

 

日本は長年廃プラスチックの処理方法の1つとして海外への輸出を行っていましたが、2017年には主な輸出先の中国が廃プラスチックの輸入を禁止しました。また、2021年からは、国際的に汚れたプラスチックゴミは条約の規制対象となり、輸出の際は輸出相手国の同意が必要です。

 

このようなことから、これまでよりも多くの廃プラスチックを自国内で処理しなければならないという問題に直面している日本。この記事では、プラスチックのリサイクル方法や世界各国のリサイクル率、プラスチックをリサイクルする上での課題などをご説明します。

 

目次

     

     

     

    主なプラスチックのリサイクル方法3種類

    プラスチック リサイクル

    出典:一般社団法人 プラスチック循環利用協会『プラスチックとリサイクル8つの「?」

     

    プラスチックのリサイクル方法は、「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つに分けられます。それぞれどのような方法なのか、具体的に説明します。

     

     

     

    ①新たなプラスチック製品を作る「マテリアルリサイクル」

    マテリアルリサイクルは、廃プラスチックをプラスチックのまま原材料として再利用し、新しいプラスチック製品を作ることです。

     

    現在、マテリアリサイクルされる対象となるのは、産業用廃プラスチックです。それらは回収して製品化され、コンテナやベンチ、フェンス、遊具、土木シートなど、包装運搬、土木建築、住宅、公園、道路、鉄道、農林水産関係の用品などに生まれ変わっています。

     

     

     

    ②化学的な処理で原料にする「ケミカルリサイクル」

    ケミカルリサイクルとは、廃プラスチックを化学的な処理によって分解し、原料にしてから再利用する方法です。

     

    ケミカルリサイクルの方法には、元の原料にしてから再度プラスチックとなる「原料・モノマー化」、製鉄所で使う還元剤となる「高炉原料化」、コークスなどになる「コークス炉化学原料化」、水素やアンモニアになる「ガス化」、石油などの燃料になる「油化」の5つがあります。

     

     

     

    ③焼却する際の熱エネルギーを利用する「サーマルリサイクル」

    サーマルリサイクルは、廃プラスチックを燃やした際の熱エネルギーを利用し、ガスや油などの固形燃料にしたり、焼却した熱を発電などに使われたりします。

     

    焼却することでリサイクルができるため、不純物が混ざったプラスチックを処理する場合や、ゴミとして分別が難しい場合に利用されます。

     

     

     

    ヨーロッパや日本のプラスチックリサイクルの現状

    プラスチック リサイクル

     

    プラスチックのリサイクルは以前から提唱されていますが、現状はどの程度の割合で行われているのでしょうか。現在のヨーロッパと日本のプラスチックリサイクルの状況を比較してみます。

     

     

    ヨーロッパのプラスチックのリサイクル率

    プラスチック リサイクル出典:環境省『プラスチックを取り巻く国内外の状況

     

    こちらの資料によると、2016年のヨーロッパにおけるプラスチックリサイクルの割合が最も高かった国はノルウェーで、40%を超えています。そのほかのグラフにある30ヵ国のうち、半数以上がリサイクル30%を超えとなっています。

     

     

     

    日本のプラスチックのリサイクル率

    プラスチック リサイクル

    出典:一般社団法人プラスチック循環利用協会『プラスチックリサイクルの基礎知識

     

    一方、日本のプラスチックのリサイクル率は、上の表によると、2012年よりずっと80%を超えています。一見、ヨーロッパより日本のリサイクル率の方が高いように感じますが、これはリサイクル率の計算方法が異なるためです。

     

    日本のプラスチックのリサイクル方法は、サーマルリサイクルが全体の大半を占めています。しかし、ヨーロッパでは、プラスチックをゴミとして焼却するサーマルリサイクルは、リサイクル率に含まれません。

     

    日本のサーマルリサイクル以外の方法でのプラスチックのリサイクル率は、2020年でも24.3%しかないため、実は、その分け方で見ると、日本のプラスチックのリサイクル率は、世界的に見ると低い水準といえます。

     

     

     

    プラスチックのリサイクルにおける課題

    プラスチック リサイクル

     

     

    課題1.世界的な廃プラスチックの輸出規制により、日本国内で資源循環方法を探す必要がある

    2021年、180ヵ国が参加するバーゼル条約の改正で、廃プラスチックが規制対象に追加されました。このことにより、事前に輸入国の同意が無ければ、廃プラスチックを輸出することができなくなりました。

     

    かつて、廃プラスチックの輸出大国であった日本。国内の廃プラスチックは行き場を無くしてしまったため、新たな資源循環などの対応方法を国内で考えなければならなくなりました。

     

     

     

    課題2.サーマルリサイクル以外のリサイクル割合を増やさなければならない

    これまで日本はごみ焼却率が高かったため、廃プラスチックの多くをサーマルリサイクルという方法で処理する割合は非常に高いものでした。

     

    しかし、EUなど国際的な基準ではサーマルリサイクルはリサイクルと認めれれていません。リサイクル率を上げるには、マテリアルリサイクルとサーマルリサイクルの割合を増やすしかありません。

     

     

     

    まとめ

    プラスチックのリサイクルの方法や世界各国の現状、今後の課題などをご紹介しました。プラスチックのリサイクル率を上げることも重要ですが、まずはプラスチックの廃棄量を減らさなければなりません。それには、私たち一人ひとり意識変容が欠かせないといえます。