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2025年の夏は暑い?気温予想や猛暑の原因・特徴を解説
2025年の夏は、全国的に平年より高い気温が予想され、猛暑や残暑の長期化が懸念されています。
今回は、今年の夏の気温や猛暑期間の予想、夏の暑さの原因とともに、世界の気温との比較についても、詳しくご紹介します。
目次
2025年の夏の気温や猛暑期間の予想
2025年の夏の気温は、全国的に平年より高温で推移し、猛暑日や熱帯夜が増えると予想されています。さらに、8月から10月にかけては残暑が長引き、秋の訪れが遅れる可能性があります。
気象庁と日本気象協会による最新予測を基に、今年の夏の気温や猛暑期間について、具体的に見ていきましょう。
気象庁と日本気象協会による2025年夏の気温予想
※出典:日本気象協会「2025年も残暑は長く、秋の到来遅れる 東京で体感「快適」は9月下旬頃から」
気象庁や日本気象協会のデータによると、2025年の夏の気温は全国的に平年より高温となり、特に西日本や東日本でその傾向が強まる予想です。35℃以上の猛暑日となる地域や、40℃近い酷暑となる地域も想定されています。
また、8月以降も高温傾向が続き、10月まで残暑が続く見込みです。これは太平洋高気圧の張り出しが強まりやすく、秋の冷たい空気の南下が遅れることが原因です。
各地の予測では、東京や名古屋、大阪など大都市圏で猛暑日が例年より多くなるほか、内陸部では記録的な高温に達する可能性があるでしょう* **。
*気象庁「全国 3か月予報(08月~10月)」
**日本気象協会「3か月予報」
2025年・いつまで暑さは続く?猛暑期間の予測
2025年は、7月末から8月前半にかけて太平洋高気圧とチベット高気圧が重なり合う「ダブル高気圧」が形成され、連日35℃以上の猛暑日が続きました。
さらに、お盆明けの8月末から10月までは、太平洋高気圧の勢力が維持され、厳しい残暑が続くとみられます。10月に入っても平年より気温が高い状態が続く可能性があり、秋の涼しさを感じられるのは例年より遅くなるでしょう。
残暑が長引く原因として、チベット高気圧の後退が遅いことが挙げられます。チベット高気圧とは、春から夏にかけてチベット付近の上空約12,000mに現れる高気圧のことで、この高気圧が東へ張り出すことが日本の猛暑の原因にもなっています。
※出典:日本気象協会「残暑は10月まで続く 今年の秋はひとたび雨が降ると、大雨のリスクも」
上の10月における上空の予想図によると、チベット付近は赤色で日本付近にもオレンジ色のエリアが広がっていることがわかります。このため、10月にかけても、日本列島は暖かい空気に覆われ、残暑が厳しくなりやすいでしょう***。
***日本気象協会「残暑は10月まで続く 今年の秋はひとたび雨が降ると、大雨のリスクも」
2025年の猛暑日・熱帯夜の日数予測
日本気象協会の最新の予測では、全国的に真夏日(最高気温30℃以上)や猛暑日(最高気温35℃以上)、熱帯夜(最低気温25℃以上)の発生回数は平年より多くなる見込みです。2024年の記録的猛暑ほどではないものの、特に都市部や内陸部で猛暑日が増え、夜間の気温が下がらない熱帯夜も増加傾向にあります****。
冷房使用時間の増加や睡眠不足による体調不良など、生活面での影響も拡大する可能性があるでしょう。
****日本気象協会「2025年も残暑は長く、秋の到来遅れる 東京で体感「快適」は9月下旬頃から」
2024年の夏については、以下の記事をご覧ください。
2025年の夏の暑さの原因
2025年の猛暑は、単なる一時的な高気温ではなく、複数の気象要因が重なって発生していると見られています。主な気象要因としては、太平洋高気圧とチベット高気圧の「ダブル高気圧」や南アジアにおけるモンスーンなどが挙げられます。
ダブル高気圧の発生メカニズムと猛暑への影響
ダブル高気圧とは、太平洋高気圧とチベット高気圧が同時に強まり、日本列島を広く覆う気圧配置のことです。
太平洋高気圧は湿った暖かい空気を運び、チベット高気圧は乾いた熱い空気をもたらします。この2つの高気圧が重なり合うと、降水が減り、強烈な日差しと高い気温が長期間続きやすくなります*****。
内陸部では気温が40℃近くまで上昇するケースがあるほか、都市部ではヒートアイランド現象と相まって危険な暑さとなるとされています。
*****ウェザーニュース「異例の暑さが続く夏、8月下旬〜9月初めは再び“ダブル高気圧“で猛暑に」
夏のアジアモンスーンによる影響
インドやパキスタンなどのエリアで夏に発生する大雨は「夏のアジアモンスーン」と呼ばれます。今年はこの夏のアジアモンスーンが多数発生し、深刻な被害をもたらしています。
研究により、この夏のアジアモンスーンが活発になると、日本付近の高気圧が強まり、暑さの増す可能性が指摘されています******。
******Yahooニュース「なぜ、猛暑が終わらないのか 来月にかけても高温続く」
日本の夏は世界一暑いのか?世界との比較
このように、年々猛暑日が多くなる日本は、世界の中で比較しても暑いのでしょうか。
日本の夏は、単に気温が高いだけではなく、高湿度と熱帯夜の多さにも特徴があります。日本と世界の暑さについて比較してみました。
日本の夏の特徴と世界の暑さランキング
以下の「世界の暑い国ランキングTOP10」は、世界各国の研究機関がつくった気候モデルを比較・分析するプロジェクト・Coupled Model Intercomparison Project Phase 6が発表したデータに基づいて、10位までランキングにまとめたものです。
■世界の暑い国ランキングTOP10
国 | 年平均気温(℃) | |
1位 | セネガル | 29.8 |
2位 | マリ | 29.6 |
3位 | ブルキナファソ | 29.5 |
4位 | ジブチ | 29.4 |
5位 | ガンビア | 29.0 |
6位 | アラブ首長国連邦 | 28.7 |
6位 | ギニアビサウ | 28.7 |
6位 | オマーン | 28.7 |
9位 | モーリタニア | 28.5 |
9位 | ベナン | 28.5 |
※出典:ELEMINIST「最新2025年「世界の暑い国ランキング」 日本の順位&平均気温は?」よりデータを抜粋して作成
上の表によると、年間の平均気温で比較すると、セネガルやマリといったアフリカ諸国やアラブ首長国連邦などの中東諸国が高いことがわかります。
なお、世界の平均気温ランキングは、算出方法により結果が変わります。公式な世界最高気温の記録としては、1913年に記録されたアメリカ・デスバレーでの56.7℃です。
上の表にはありませんが、日本は同ランキングで、全190か国中141位でした。年間での平均気温なので、冬がある日本はその分暑い国ランキングでは低い順位になります。
しかし、日本の方が気温が低いからといって、それらの国々よりも暑くないとは言い切れません。
日本の猛暑と海外の猛暑の違い
上の表にある国々やアメリカのデスバレーでは最高気温50℃近くに達することもありますが、多くの地域は乾燥しているため、汗の蒸発によって体温を冷却しやすい環境です。
一方、日本は湿度が高く、体温を発散しにくいため、熱中症リスクが極めて高まります。さらに、真夏日はもちろん熱帯夜も多く発生します。このような気候条件が、海外から「日本の夏は世界一暑い」とも言われる理由として考えられるでしょう。
海外の乾燥した猛暑と比較すると、日本の湿潤な猛暑は不快指数が高く、体感的により厳しく感じます。また、都市部ではヒートアイランド現象が加わり、夜間の気温低下が妨げられるため、睡眠不足や体調不良を引き起こしやすくなります。
例えば、気温が同じ35℃でも、湿度が高い日本では体感温度が40℃を超えることがあり、これが健康被害や経済活動への影響を拡大させる要因となっているのです。
暑さ対策をして、10月まで続く厳しい暑さを安全に乗り切ろう
2025年の夏の気温は、全国的に平年より高温となることが予想されています。ダブル高気圧と夏のアジアモンスーンの影響が重なり、35℃以上の猛暑日や熱帯夜が平年よりも増加する見込みです。
さらに、残暑が長引き、10月まで全国的に平年より気温が高くなることが想定されているため、従来の夏対策を10月頃まで継続する必要があります。日々の気象情報をチェックして早めの対策を心がけることで、2025年の厳しい夏を安全に乗り切ることが重要です。
特に、高齢者や子ども、持病のある方は、熱中症のリスクが高まります。こまめな水分補給や冷房の適切な使用、日中の外出を避けるなどの暑さ対策を心がけましょう。
熱中症対策については、以下の記事をご覧ください。