水とくらし

意外と身近で起こる「水害」。発生時、自分ができる対策とは

水害 対策

 

温暖化など地球環境の変化もあり、大型台風やゲリラ豪雨など、近年水害の被害が拡大しています。避難訓練を行う地震や火事に比べ、水害は発生した時にどう対策すればよいのか、よく知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、近年日本で起きている水害事例や水害への自治体の取り組み、いざという時に自分でできる水害対策をご紹介します。

 

目次

     

     

     

    近年日本で起きている水害

    ▼2011(平成23)年〜2021(令和2)年における水害の発生件数

    水害 対策

     

    出典:政府広報オンライン『河川の氾濫や高潮など、水害からあなたの地域を守る、「水防」

     

     

    大雨による河川の氾濫などにより、住宅や街だけでなく人命にも被害を及ぼす「水害」。

     

    上の図から、2011(平成23)年から2021(令和2)年までの10年間に、水害が日本全国で約97%の市区町村において発生したことがわかります。日本で水害は、身近な災害のひとつになっていることがうかがえるでしょう。

     

    特に近年は、「ゲリラ豪雨」と呼ばれる時間雨量50mmを超える豪雨が頻発しています。

    以下では、実際に近年起こった水害事例を紹介します。

     

    【台風】令和元年東日本台風

    「令和元年東日本台風」により、これまで経験したことのないような記録的な大雨となりました。総雨量は、神奈川県では1,000mm、静岡県では700mm、埼玉県・東京都・宮城県では600mm超えを記録。河川の氾濫や土砂災害など、水害被害は関東甲信と東北を中心に広いエリアに及びました。

     

    【豪雨】令和2年7月豪雨

    「令和2年7月豪雨」により、全国各地で集中的な大雨に。総降水量は、長野県や高知県の多い所で2,000mmを超えるところがあり、九州南部や九州北部、東海、および東北の多くの地点では、24・48・72時間降水量が観測史上1位の数値を超えました。また、国管理の7水系10河川、県管理の58水系193河川で、決壊などによる氾濫も発生しました。

     

    【大雨】令和3年8月11日からの大雨

    「令和3年8月11日からの大雨」により、西日本から東日本の広範囲で大雨となり、総雨量が1,400mmを超えるようなところも。国管理の六角川水系六角川や江の川水系江の川をはじめ、都道府県管理河川も合わせると、29水系88河川で氾濫などの被害が発生しました*。

     

    *政府広報オンライン『河川の氾濫や高潮など、水害からあなたの地域を守る、「水防」

     

     

    地域を水から守る自治体の取り組み

    水害 対策

     

    このような水害の発生は、例年6月~7月の梅雨や8月~9月の台風シーズンに集中して発生します。そのような水害から地域を守るために、自治体ではどのような取り組みを行われているのでしょうか。

     

    洪水ハザードマップの作成

    自治体が提供する地域のハザードマップは、自分が住んでいる地域の災害における危険度の把握に役立ちます。堤防が決壊した際の浸水が想定される地域や避難経路などが記載され、いざという時の避難行動に役立ちます。

     

    洪水ハザードマップを作成・公表することは、水防法の改正により義務付けられました。平時の際に、あらかじめ自分の住む地域の洪水ハザードマップに目を通しておきましょう。

     

    防災気象情報と避難勧告・避難指示までの流れ

    災害発生危険度 小→→→→ →→→→ →→→→大
    気象台 大雨などが起きる1日程前に、予報としてその可能性を伝える 大雨注意報・洪水注意報 大雨警報・洪水警報 記録的短時間大雨情報
    自治体 状況を確認し、その後の対策の確認を行う
    • 防災関係者への連絡
    • 担当者は待機
    • 情報収集
    • 防災関係者の収集
    • 防災対応のために出勤
    • 関係機関への情報収集
    • 危険箇所の見回り
    • 避難準備などの注意喚起
    避難勧告・避難指示

     

    出典:国土交通省パンフレット『水管理・国土保全』のデータを参照し作成。

     

    気象台が発表する情報の違い

    大雨注意報・洪水注意報 : 大雨や洪水による災害の恐れがある場合に、注意を呼びかけます

    大雨警報・洪水警報 : 人命や財産に重要な影響を及ぼすような恐れがある場合に、警戒を呼びかけます

    記録的短時間大雨情報 : この場所ではめったに起こらないような、猛烈な雨を観測した時に発表されます**

     

    **国土交通省パンフレット『水管理・国土保全

     

    水害発生時の行政対応

    ① 災害対策本部の設置

    大雨による被害が予測されたり発生したりした時には、まず担当部署が警戒と対応に当たります。より大きな被害が予測されるときは災害対策本部を設置し、被害状況の把握や水防活動などを一元管理します。状況に応じて避難勧告や避難指示の発令のほか、避難所の開設なども行います。

     

    ② 住民の救助

    付近の住民や水防団、消防や警察などと協力しながら、取り残された住民の救出を行います。被害が大きい時には、市町村は県を通じて自衛隊の派遣を要請することも。

     

    ③ 被災者の支援

    避難所に職員を派遣して被災者の受け入れ態勢を整えるとともに、被災者が安心して過ごせるように避難所の運営を行っていきます。

     

    ④ 復旧・復興作業

    被災直後から、河川や道路、ライフラインなどの機能回復作業を懸命に行います。これらの復旧により、平常生活への早期移行や本格的な地域の復興につなげていきます。

     

    地域を守る水防団

    「水防団」とは、地域住民によって構成されている団体です。洪水の恐れがあるときに、土のうを積んで堤防を補強したり、近所の人たちに注意を呼びかけたり、避難を誘導したりする役目を持っています。

     

    水防団の団員は、非常勤の特別職地方公務員扱いです。普段から土のうの適切な積み方や堤防を応急的に補修する工法、あふれた水を排水する方法などの「水防工法」を学び、いざというときに備えています。

     

     

    水害発生!浸水前に家庭でできる対策は?

    水害 対策

     

    では、自分で水害に対して行える対策はあるのでしょうか。水害発生時に、家庭でできる対策をご紹介します。

     

    【浸水直前の対策】玄関からの浸水を防ぐ

    自宅に土のうが無くても、ゴミ袋やプランター、ポリタンク、レジャーシートなどの身近なものを使って、家の浸水を防げます。

     

    ゴミ袋に水を入れると、簡易水のうの出来上がり。その水のうを玄関前に隙間なく詰むことで、浸水被害の軽減が可能に。さらに、水のうをいくつかまとめて段ボール箱に入れると、強度をアップさせることができます。

     

    【浸水直前の対策】下水の逆流を防ぐ

    急激な水位の増加により下水が逆流し、トイレや風呂場、洗濯機の排水口などから、水が噴き出ることがあります。上から水のうを置くと、逆流を抑えられて安心です。

     

    【浸水直前の対策】床下収納からの浸水を防ぐ

    床下が浸水すると、床下収納のふたが開いて、水が室内に入ることがあります。上から重いものや水のうなどで床下収納のふたを塞ぐと、浸水被害を軽減できるでしょう。

     

    【浸水直前の対策】家財の被害を防ぐ

    水害による家財被害を軽減するため、家財を浸水被害の少ない2階など高い所へ上げるようにしましょう。

     

    ・重要書類や高価な家電製品、数日分の衣類は、高い位置に移動させておいてください。

    ・畳も外して、高い場所へ移動を。食卓の上に載せるだけでも、浸水を防げる場合もあります。

    ・自家用車は、早めに安全な場所へ移動することが重要です。もし移動が困難な場合には、エンジン部分の浸水を避けるようにしましょう。

     

    【浸水直前の対策】浄水槽の被害を防ぐ

    浄化槽に土砂や泥が入ると、管が詰まったり機能が低下したりする恐れがあるため、浸水前に浄化槽のふたがしっかり閉まっているか確認しておきましょう。また、浄化槽ポンプが壊れないよう、浄化槽ポンプの電源を切っておくことも忘れずに***。

     

    ***国土交通省パンフレット『家庭で役立つ防災

     

     

    まとめ

    水害に対する国や地方自治体など取り組みはありますが、いざ発生した時に被害の大きさを左右するのは、個人一人ひとりの対策です。水害が発生してから慌てないよう、住んでいる地域の洪水ハザードマップや自分ができる水害への対策を平時に確認しておきましょう。