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コンクリートの歴史とは?日本で普及した歴史を解説

コンクリートの歴史

 

身近な素材であるコンクリート。どのように発明され、どう発展してきたのでしょうか。コンクリートの発明や普及するまでといった、歴史を中心にご紹介します。

 

 

目次

     

     

     

    古代の遺跡にも使われていたコンクリート

     

    コンクリートの歴史

     

    最新の建築物にも使われているため誤解しがちですが、実は古代から使われていたコンクリート。意外と古い歴史を持っている建築素材です。

     

     

    最古のコンクリートは9,000年ほど前に遡る

    コンクリートは意外と古くからある素材で、最古に作られたのはイスラエルにあるイフタフ遺跡から出土された、9,000年前のものといわれています。ただし、建築素材として普及したのは、ローマ時代の2,000年前からです。

     

     

    2,000年ほど前に普及した、耐久性の高い「ローマン・コンクリート」

    現代のコンクリートに至ると考えられているローマン・コンクリートは、建築資材として大量生産が可能なコンクリートとして、2,000年前にローマで普及しました。2,000年前のものが現在も残っていることから、現在のコンクリートよりも耐久性があるといえるかもしれません。

     

    当時のローマは火山灰が豊富にあったようで、これをコンクリートと混ぜて生成することで、耐久性の高いコンクリートを作ることができたのです。

     

    現在の建築資材で使われている鉄筋コンクリートと違う点は、コンクリートの内部に補強資材である鉄筋を入れていないことです。これにより、現在のような高層ビルや長い橋を作れなかったため、ローマン・コンクリートは現在のコンクリートと構造的にも異なるといえるでしょう。

     

     

    1,000年後、イギリスでローマン・コンクリートが研究される

    このコンクリートはローマ帝国の滅亡とともに使われなくなってしまい、それから1,000年以上も建築資材としては使われませんでした。

     

    次にコンクリートが使われたのは、1757年のイギリスです。イングランドのデヴォン州にエディストーン灯台が焼失した際の再建工事に携わった技術者が、覆工の材料としてローマン・コンクリートに注目し、1,000年以上もの時を経て、再度材料として使われるようになりました。

     

     

     

    セメントの発明によって、コンクリートが世界に普及する

     

    コンクリートの歴史

     

    コンクリートを作るには、セメントが必要不可欠です。ここからは、セメントの製法確立やその関わりにより、どのようにコンクリートが建築資材として普及していったのかを見ていきましょう。

     

     

    イギリスで「ポルトランドセメント」の製法が確立する

    現在、建築資材として使用されるセメントの正式名称は「ポルトランドセメント」といいます。1827年、イギリスの職人がこのセメントの製法の特許を取得しています。

     

    ポルトランドセメントが作られて、コンクリートは初めて世界に普及していきます。世界各国でポルトランドセメントが作られるようになり、フランスでは1848年、アメリカでは1871年、日本でも1875年に国内で作られるようになりました。

     

     

    近代化の流れに乗って、世界中にコンクリートが爆発的に普及していく

    コンクリートは製造が容易で材料も安定して供給でき、強度的にも優れていたので、セメントの発明後は時代のニーズにマッチした建築資材として、世界各国で普及していくことになります。

     

     

     

    日本のコンクリートの歴史

     

    コンクリートの歴史

     

    ここからは、日本でコンクリートが取り入れられてきた歴史について見ていきましょう。現在のように、日本でコンクリートが主な建築資材となるまでには、どのような変遷があったのでしょうか。

     

     

    明治時代、日本で初めてセメントの製造に成功する

    日本のコンクリートの歴史は、1873年に東京・深川で官営のセメント工場が設立されたことから始まります。

    1900年くらいから、曲げる力に弱いコンクリートの性質を改善するため鉄筋を入れるようになり、建物の柱に使用されるなどと用途を広げてきました。

     

    日本の建築で最も古い鉄筋コンクリート構造のひとつが、1910年頃に建てられた長崎県長崎市の端島(軍艦島)の集合住宅です。

     

    戦後の復興・高度成長期に、コンクリートが国内で急速に普及していく

    第2次大戦後、戦後の復興に乗じてコンクリートが急速に普及します。1949年、東京コンクリート工業の業平橋工場から、日本発の生コンクリートの製造が開始されました。

     

    2000年頃からは、鋼等の短い繊維を入れたコンクリートが登場し、鉄筋を用いなくても、コンクリートの欠点を補うことができるようになりました。

     

    この新しいコンクリートの登場によって、ヨーロッパでは鉄筋コンクリート建築ではできないようなデザイン性に富んだ構造物が造られるようになりました。近年では、日本でもこの新しいコンクリートを使うことで、デザイン性に富んだ橋や建物が見られるようになってきています。

     

    まとめ

    普段、建物や街角などで、何気なく目にするコンクリート。実は古い歴史を持っていることをわかっていただたのではないでしょうか。鉄筋を入れなくても硬度を補える素材が登場するなど、進化を続けるコンクリートは、これからも私たちの重要な建築資材のひとつであり続けることでしょう。