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トンネルは何のためにあるの?種類・工法や補修対策も紹介

トンネル 工法

 

トンネルとは、地上から目的地まで、地下や海底、山・岳などの土中を通る人工の土木構造物のことを差します。OECD(経済協力開発機構)の国際トンネル会議では、断面積が2平方メートル以上のものがトンネルと定義されているそうです。昔は、日本ではトンネルのことを「隧道(ずいどう)」とも呼ばれていました。

 

今回は、そんなトンネルが造られる理由や種類・工法、コンクリートの剥落・漏水への対策についてご紹介します。

 

 

目次

     

     

     

    なんのためにある?トンネルが作られる理由

    トンネル 工法

     

    日本の国土は、山地が6割以上、丘陵地と合わせると7割以上を占めています*。人や物を山や丘があっても遠回りせずにスムーズに移動させるため、トンネルが作られてきました。

     

    日本には現在約15,000本ものトンネルがあるとされ、世界有数の「トンネル大国」です。

     

    トンネルを整備することで危険な山越えなどをする必要がなくなり、安全に通行でき交通事故の減少にも繋がっています。また、水害を抑制するための排水用トンネルもあり、災害の防止にも活用されています。

     

    *一般財団法人 国土技術研究センター「国土を知る / 意外と知らない日本の国土

     

     

     

    トンネルの種類や工法

    ひと口にトンネルといっても、種類や工法はさまざまです。

     

    トンネルの種類は建設場所(山岳、都市、水中など)や用途(道路、鉄道、水路など)、 工法によって分類されますが、トンネルの工法は大きく分けて、「山岳(さんがく)トンネル工法」、「シールドトンネル工法」、「開削(かいさく)トンネル工法」、「沈埋(ちんまい)トンネル工法」の4種類があります。

     

     

    山岳トンネル工法

    トンネル 工法

     

    山岳トンネル工法は、岩盤など強固な地盤の山地部にトンネルを作るのが得意な工法で、山の麓をくぐるトンネルのほとんどにこの工法が使われています。

     

    トンネルを横方向に掘りながら、H型鋼といった鉄枠や吹きつけコンクリートで地山を支え、最後にコンクリートで固めてトンネルが作られます。

     

     

    シールドトンネル工法

    トンネル 工法

     

    シールドトンネル工法は、シールドマシンと呼ばれる鉄の掘削用の機械を使ってトンネルを掘り進めていく工法です。

     

    セグメントというリング状のパネルをはめこみ、壁を形成しながら掘削してトンネルを作ります。特徴は、工事が周辺環境に左右されにくい点です。

    都市部での地下鉄や下水道トンネル形成に採用されることが多く、平地や水の底などの比較的柔らかい地山を掘る際によく使われます。

     

     

    開削トンネル工法

    トンネル 工法

     

    開削トンネル工法は「縦方向」に掘削する工法で、「土留め壁」と呼ばれる壁と「支保工」と呼ばれる支えを設置しながら掘り進めていきます。

     

    都会の地下街や地下鉄を作る際によく使われますが、もっと深い所を掘る場合にはシールドトンネル工法が使われます。

     

     

    沈埋トンネル工法

    トンネル 工法

     

    沈埋トンネル工法では、沈埋函(ちんまいかん)、またはケーソンと呼ばれる大型のコンクリートや、鋼製でできた箱を船で運び、海や川の底に沈めて繋ぎ合わせながらトンネルを作っていきます。

     

    水底トンネルを作る方法のひとつです**。

     

    **出典:厚生労働省「トンネル建設工事の工法等について

     

     

     

    トンネルはどう補修されている?剥落や漏水への対策

     

    トンネル 工法

     

    トンネルが経年劣化すると、コンクリートの剥落や漏水に繋がり、通行する際に事故が起こるリスクが高まります。

     

    安全点検で補修が必要だと判断された後、自治体の財政難や人材不足などが理由で、5年を超えても補修されていない橋やトンネルが全国に7,000か所余りあるといわれています。

     

    トンネルには、以下のような補修方法があります。

     

     

    剥落への対策

    インフラの上にコンクリート構造物が存在するトンネルや高架橋のコンクリート片の剥落止対策として、繊維シートを貼ることにより面で剥落を防止する、「アラミド繊維補強」があります。

     

    また、高強度のFRP格子筋が剥離コンクリート塊の重量を支持し、背面のメッシュネットで数cm以下の小片の落下を防止する、「FRP メッシュ工法」なども対策として挙げられます。

     

     

    漏水への対策

    漏水対策としては、トンネル覆工表面に線状、面状に発生している打継目地やひび割れからの漏水を、専用の部材により路面や歩道の排水設備に導く「線導水工法」があります。弊社のアーチ・ドレン工法はこれに該当します。

     

    そのほか、覆工面からの漏水を防止するために、覆工面に横穴を穿つ「排水ボーリング施工」などもあります。

     

     

    まとめ

    NHKの情報によると、高度経済成長期に完成し建設から50年以上経過した橋やトンネルは2022年に34%に上り、2032年には59%まで急増するとされています。

     

    補修できない老朽インフラは今後、全国で増加していくと見られ、安全面をどう担保していくのかが課題となっています。私達もトンネルの安全性を将来的にも守っていくために、一人ひとりが国や自治体の対策を注視していくようにしましょう***。

     

    ***出典:NHKニュース「老朽インフラ増加 補修されていない橋やトンネル 7000か所余