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【日本の降水】豊かな恵みと激甚化するリスク

<データで紐解く、日本の水/第1回>

 

 

「日本は雨の多い国?」

「日本は雨が多い」「水資源が多い国」多くの人がそう感じているはずです。実際、その印象は数字でも裏づけられます。しかし、日本の降水を少し丁寧にデータで見ていくと、「水に恵まれた国」という言葉だけでは語りきれない、もうひとつの顔が浮かび上がってきます。豊かな恵みと、年々大きくなるリスク。今回は気象庁や国土交通省の公的データをもとに、日本の降水の実像を読み解きます。

 

目次

     


    数字で見る、日本の雨と地域格差

     

     

    まず「恵み」の側面から見てみましょう。日本の年平均降水量は約1,707mmで、世界の陸域平均(約1,171mm)のおよそ1.5倍にあたります。世界の多くの地域と比べれば、日本が降水に恵まれた国であることは間違いありません。

     

    ところが、これを「1人あたり」に換算すると景色が変わります。日本は国土が狭く人口密度が高いため、1人あたりが使える水の量(水資源賦存量)は世界平均を下回ります。国土交通省の資料では、世界平均の約4分の1とされることもあります。降る雨の総量は多くても、それを分け合う人が多い。だから「水が豊かな国」とは、必ずしも言い切れないのです。

     

    さらに、同じ日本の中でも降水量は大きく異なります。最も多い高知県は年間約2,666mm。一方、最も少ない長野県は約965mmで、その差は3倍近くにのぼります。宮崎県や鹿児島県といった太平洋側・南西部が上位を占める一方、内陸の長野県や瀬戸内側の岡山県、北海道などは少雨地域です。「日本の水事情」とひとくくりにできないほど、地域ごとの実態は違います。

     

    ▼都道府県別の降雨量 多い県TOP10

    順位 都道府県 年降水量
    1 高知県 2,666.4mm
    2 宮崎県 2,625.5mm
    3 鹿児島県 2,434.7mm
    4 石川県 2,401.5mm
    5 富山県 2,374.2mm
    6 静岡県 2,327.3mm
    7 福井県 2,299.6mm
    8 沖縄県 2,161.0mm
    9 熊本県 2,007.0mm
    10 佐賀県 1,951.3mm

    ※出典:気象庁 平年値(1991〜2020年、県庁所在地の観測値) 全国平均は1,661.5mm。

     

    ▼都道府県別の降雨量 少ない県TOP10

    順位 都道府県 年降水量
    47 長野県 965.1mm
    46 岡山県 1,143.1mm
    45 北海道 1,146.1mm
    44 香川県 1,150.1mm
    43 山梨県 1,160.7mm
    42 山形県 1,206.7mm
    41 福島県 1,207.0mm
    40 群馬県 1,247.4mm
    39 宮城県 1,276.7mm
    38 兵庫県 1,277.8mm

    ※出典:気象庁 平年値(1991〜2020年、県庁所在地の観測値)

     


    激甚化・頻発化する異常気象

    恵みの一方で、近年とくに目立つのが「リスク」の側面です。

     

    象徴的なのが、強い雨の増加です。気象庁によると、1時間に80mm以上という「猛烈な雨」の発生頻度は、1980年頃と比べておおむね2倍に増えています。短時間に叩きつけるような雨が、明らかに身近なものになっているのです。

     

    その背景のひとつが「線状降水帯」です。発達した積乱雲が、同じ場所で次々と発生・通過する「バックビルディング型」と呼ばれる形成によって、同じ地域に猛烈な雨が長時間降り続きます。予測が難しく、局地的に甚大な被害をもたらすことから、近年の豪雨災害でたびたび報じられるようになりました。

     

    そしてもうひとつ見逃せないのが、豪雨と渇水の「二極化」です。一度に降る雨の量は増えている一方で、年間を通して雨の降る日数はむしろ減少傾向にあります。つまり、「降るときは激しく、降らないときはとことん降らない」。豪雨による水害リスクと、渇水リスクが、同時に高まっているのです。

     


     

    恵みをリスクにしないために ― 「水を流す・活かす」技術

    ここまでのデータが示すのは、日本が「水と上手につき合う難しさ」を抱えた国だということです。降る量は多いが、偏りが大きく、近年はその振れ幅がさらに激しくなっている。

     

    だからこそ重要になるのが、降った水を「いかに安全に流し、活かすか」という視点です。激しさを増す豪雨に対しては、水を速やかに、安全に排出・誘導する排水や治水のしくみが、暮らしと社会基盤を守る最後の砦になります。同時に、渇水に備えて水を無駄なく利用・貯留する工夫も欠かせません。気候変動とインフラの老朽化が重なるこれからの時代、「水の流れをデザインする」ことの価値は、ますます大きくなっていくはずです。

     


     

    おわりに

    ニホン・ドレンは1984年の創業以来、暗渠排水材や漏水・剥落防止材、導水製品といった「水の流れをつくる」技術で、トンネルや道路をはじめとする社会基盤を支えてきました。激甚化する降水の時代にあって、私たちはこれからも、水を安全に導き、活かすものづくりを通じて、暮らしの安心に貢献していきます。

     

     

    出典・参考

    • 気象庁「日本の気候変動2025 ―大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書―」
    • 気象庁 大雨・短時間強雨の統計(1時間降水量80mm以上の発生回数)
    • 国土交通省「日本の水資源の現状と課題」「水資源賦存量」関連資料
    • 気象庁 都道府県別降水量 平年値
    • 内閣府「防災白書」、内閣官房 水循環政策本部「水循環白書」

     

    数値はいずれも公的機関の公表データに基づきます。比較に用いる基準(世界平均か世界陸域平均か等)や統計年によって数値は変わるため、引用の際は出典・基準をご確認ください。